マルコ・ベッツェッキ(アプリリア・レーシング)が、インドネシアGPスプリントで驚異的な巻き返しを見せ、最終ラップでフェルミン・アルデゲル(BK8グレシーニ・レーシングMotoGP)をかわして勝利を手にした。ラウル・フェルナンデス(トラックハウスMotoGPチーム)はフロントロウスタートから3位表彰台を獲得し、MotoGP初の表彰台を達成した。

ベッツェッキはスタートに失敗、マルケスにはロングラップペナルティ

ポールポジションからスタートしたベッツェッキは、立ち上がりで出遅れ、6番グリッドのルカ・マリーニ(ホンダHRCカストロール)が一時的にトップに立つ。しかし、マリーニがワイドになった隙を突いて、アルデゲルとフェルナンデス、そしてペドロ・アコスタ(レッドブルKTMファクトリーレーシング)が前に出た。オープニングラップのターン10では、マルク・マルケス(ドゥカティ・レノボ・チーム)とアレックス・リンス(モンスターエナジー・ヤマハMotoGP)が接触。両者ともワイドに膨らみ、マルケスがリンスを押し出す結果となり、この接触により、マルケスにはロングラップペナルティが科された。

アルデゲルがトップをキープ、アコスタが転倒

序盤はアルデゲルが0.5秒差でアコスタをリードし、3番手にはフェルナンデス。マリーニとベッツェッキがそれに続いた。しかしターン1でベッツェッキがマリーニへのオーバーテイクを狙った直後、アコスタが同じコーナーで転倒。2位を走行していたKTMの新星はここでリタイアとなり、アルデゲルのリードは1.8秒に拡大。

最終ラップの攻防

ベッツェッキはここから猛烈な追い上げを開始。残り8周時点で、リーダーのアルデゲルとのギャップは2秒以上。しかしその次の周にはターン10でフェルナンデスをオーバーテイクし、2位に浮上。ベッツェッキはすかさず1分29秒638の最速ラップを記録し、アルデゲルの1分30秒379を大きく上回るペースを見せる。8位スタートからの劇的な巻き返しで、優勝争いに加わる形となった。

残り2周では0.5秒差、そして最終ラップ突入時には0.3秒まで接近。ターン10で再び勝負をかけたベッツェッキは若干ワイドになりながらも前に出ることに成功。アルデゲルも簡単には引かず、ターン12で接近戦に持ち込むが、最後はベッツェッキが逃げ切ってチェッカーを受けた。

スプリントのポイント獲得者たち

アレックス・マルケス(BK8グレシーニ・レーシングMotoGP)は単独走行で4位フィニッシュし、年間ランキング2位の座をさらに強固なものとした。ジョアン・ミル(ホンダHRCカストロール)は5位に入り、マリーニは最終的に6位でゴール。しかし、レース後にタイヤ圧の違反で8秒加算ペナルティを受け、ポイント圏外に転落した。

これにより、ロングラップペナルティから挽回したマルク・マルケスが6位でスプリントを終えた。7位と8位にはVR46チームのフランコ・モルビデリとファビオ・ディ・ジャンアントニオが続き、ペナルティにより順位が繰り上がったミゲル・オリヴェイラ(プリマ・プラマック・ヤマハMotoGP)が9位で最後のポイントを獲得した。