フェルミン・アルデゲル(BK8グレシーニ・レーシングMotoGP)がインドネシアGPで劇的な初勝利を挙げ、MotoGP史上2番目の若さでの優勝者となった。1周目でマルコ・ベッツェッキ(アプリリア・レーシング)とマルク・マルケス(ドゥカティ・レノボ・チーム)が接触・転倒する波乱の幕開けとなった決勝レースで、アルデゲルは序盤からリードを築き、圧倒的な速さで独走態勢に持ち込んだ。ペドロ・アコスタ(レッドブルKTMファクトリー・レーシング)が2位に入り、アレックス・マルケス(BK8グレシーニ・レーシングMotoGP)が3位表彰台を獲得した。

ベッツェッキとマルク・マルケスが初周に接触
スプリントと同様にポールポジションスタートのベッツェッキは出遅れ、アコスタがホールショットを獲得。6コーナーでは、後方から仕掛けたベッツェッキがマルケスのドゥカティに追突し、両者が激しく転倒。ワールドチャンピオンと優勝候補が、わずか6コーナーでレースを終えることとなった。
幸いにも両者とも自力で歩いてコースを後にしたが、マルク・マルケスは右鎖骨を負傷。レース後にヨーロッパへ戻り、手術の必要性を含めた追加検査を受ける予定だ。アプリリアは、ベッツェッキが地元病院で精密検査を受けたことを発表している。
アルデゲル、圧巻のペースで首位浮上
2周目にはジョアン・ミル(ホンダHRCカストロール)が16コーナーで転倒し、表彰台争いから脱落。序盤のトップグループはアコスタ、アルデゲル、ルカ・マリーニ(ホンダHRCカストロール)、ラウル・フェルナンデス(トラックハウスMotoGPチーム)で構成された。アルデゲルは素晴らしいペースで逃げ、11周目にはリードが2.5秒に拡大。マリーニとアコスタが接近戦を展開し、フェルナンデスも迫る。後方からはアレックス・リンス(モンスターエナジー・ヤマハMotoGP)、アレックス・マルケス、ファビオ・クアルタラロ(同チーム)が浮上してきた。
14周目、フェルナンデスとマリーニが接触しながら最終コーナーでやり合う間に、リンスとアレックス・マルケスが一気に前へ。マリーニは8位まで後退。先頭を行くアルデゲルは既に6.5秒のリード。表彰台争いは、2位アコスタ以下、ディ・ジャンアントニオ(VR46レーシング)までの間にわずか3秒という大接戦に。17周目、アコスタが自己ベストで踏ん張るが、20周目にリンスが2位に浮上。22周目にはアレックス・マルケスがアコスタを交わし、さらに1コーナーでリンスも抜いてグレシーニ勢が1-2体制に。しかし、リンスのリアのソフトタイヤは限界を迎えており、フェルナンデスとブラッド・ビンダー(レッドブルKTM)が前へ。ビンダーは15番グリッドから驚異の追い上げで4位争いに絡む。23周目、アコスタが再びマルケスを抜き2位に返り咲き、ビンダーとの間に0.9秒のギャップを築く。
アルデゲル、独走で初優勝達成
最終ラップを迎える頃には、アルデゲルは他車と別次元のタイムで独走。8.6秒差を築いたまま、落ち着いてチェッカーフラッグを受けた。まさに完璧な初勝利で、MotoGPの歴史に名を刻む快挙を達成。2位アコスタ、3位アレックス・マルケスが表彰台を獲得。アレックスはこれでランキング2位を固めた。なお、もう1台のファクトリーDucatiのフランチェスコ・バニャイアは転倒してレースを終えた。日本で劇的な復活劇を見せた翌週に、土曜のスプリントで再開、決勝リタイアという悪夢の週末となった。