ミシュランは先週末のスペインで開催されたヘレスGPにおいて、マルク・マルケスの優勝によってグランプリレースの最高峰クラスにおける400勝目を達成しました。これはミシュランにとって大きなマイルストーンとなります。

ミシュランは1973年に世界選手権の500ccクラスに参戦を開始。マン島TTにおいてオーストラリア人ライダーのジャック・フィンドレーがスズキのバイクでシニアツーリストトロフィーで初優勝を果たしています。

グランプリレースへの参戦によって、ミシュランは1974年にレース専用タイヤを開発。それ以前はロードタイヤをレースで使用していました。そしてこのレース専用タイヤによるイノベーションが、1975年の初のスリックタイヤの使用に繋がりました。そして同1975年にバリー・シーンがスリックタイヤを履いて、初めてオランダのアッセンTTで優勝しています。

シーンはそのまま成功を続け、1976年にはミシュランに初の500cc世界タイトルをもたらし、1977年にも同じく世界タイトルを獲得。1977年には最高峰クラスの全レースで優勝を遂げています。そしてその後も数々の世界タイトルを記録しており、それ以外にも数々のイノベーションを投入しています。ミシュランは1984年に初めて革新的なラジアルタイヤをレースに投入。ミシュランのラジアルタイヤにとって初優勝の舞台となったのは、その年の第2戦にイタリアはミサノで行われたネイションズGPでのことでした。

この時優勝したフレディー・スペンサーは前後にラジアルタイヤを装着。これは前後ラジアルタイヤを履いた車両による初優勝でした。シーズン後半位はランディー・マモラがサンマリノGPで優勝しています。

1986年から1989年の間に、ミシュランはグランプリレースの全クラスを総ナメにします。ミシュランはこの間、500cc、250cc、125cc、80ccクラスで優勝。その後最高峰クラスで勝利記録を伸ばしていきます。

ワイン・ガードナーが1987年にブラジルでグランプリレース最高峰クラスで100勝目を達成。ミック・ドゥーハンも同じくブラジルにおいて1996年に200勝目を達成。ミシュランにとって最高峰クラス300勝目を達成したのは、セテ・ジベルナウで、これは2003年のオランダのダッチTTのことでした。

ミシュランの最高峰クラスでの活躍は数多く伝説的なライダー達によって支えられてきました。この中にはシーン、スペンサー、マルコ・ルッキネリ、フランコ・ウンチーニ、エディー・ローソン、ガードナー、ウェイン・レイニー、ケヴィン・シュワンツ、ドゥーハン、アレックス・クリビーレ、ケニー・ロバーツ・ジュニア、バレンティーノ・ロッシ、ニッキー・ヘイデンなどが、ミシュランにタイヤで1度、もしくは複数回ミシュランのタイヤを履いてタイトルを獲得しています。なお、ドゥーハンとロッシはそれぞれ1994年から1998年、2001年から2005年5連続でタイトルを獲得しています。またマルク・マルケスはミシュランが最高峰クラスのレースに復帰してから2連続でタイトルを獲得しています。

複数のタイヤメーカーが選手権に参戦していた時、ミシュランの最後の勝利となったのは2008年で、この時最後に優勝を遂げたのはダニ・ペドロサでした。その後はシングルタイヤルールによって、ミシュランは7年間世界選手権からの撤退を余儀なくされました。

これによってミシュランの勝利記録を途絶えてしまいました。1973年から2008年にかけて、ミシュランは500cc/MotoGPクラスにおいて、なんと73%もの勝率を誇っていました。優勝したメーカーはホンダ、ヤマハ、スズキ、CagivaでSanveneroも1勝を上げています。

ミシュランの勝利の歴史は2016年にミシュランがMotoGP世界選手権にオフィシャルタイヤサプライヤーとして復活した事で再び動き出しました。そしてマルケスが先週の日曜に400勝目を達成。また、2016年から動き出した歴史の中で、ミシュランは優勝メーカーにDucatiを追加。なお、ミシュランのMotoGP世界選手権へのタイヤ供給に関する契約は2023年まで続きます。MotoGPパドックがミシュランの通算500勝目を祝う日も近いでしょう。

ミシュランの最高峰クラスのモーターサイクルレーシングにおける歴史において、11の異なる国の48人のライダーが、51の世界中のサーキットにおいて優勝しました。いくつかのサーキットでは長年のうちに構成が変わったところもありますが、これはミシュランが世界最高峰のモーターサイクルとレーサー達に、チャンピオンシップがどこで開催されようが、どのようなライディングスタイルであろうが、マシンの要求がどのようなものであろうが、常に最高のタイヤパフォーマンスを提供してきたことを証明しています。

ミシュラン モータースポーツディレクター パスカル・クアノン

「400勝というのは大変な偉業だと言えますし、ミシュランとしても大変誇らしく思っています。ここまで競争が激しい選手権において400勝を達成したことは祝福されるべきですし、ミシュランには革新的な人材が揃っており、選手権の黎明期に、先人たちがここまで競争力が高く革新的な最初のスリックタイヤ、そしてラジアルタイヤを選手権に導入した先見性には感謝しています。」

「ミシュランのタイヤがここまで高い勝率を誇ってきたことは驚くべきことですし、これらの数々の勝利は、ミシュランの市販ロード用タイヤが、サーキット直系のテクノロジーを使用しているということでもあるのです。オープン時代における73%という勝率はそれ自体素晴らしい記録です。ミシュランが世界選手権に初めて参戦した最初の3年間である1973年から1975年にかけて、ミシュランの勝利数は僅かに3つでした。ですから、それ以降のミシュランの勝率というのは驚くべきものなのです。」

「ミシュランは今までに数多くの素晴らしいチャンピオン達を勝利に導いてきました。そしてその全ての勝利を祝福してきたわけです。私もまた、ミシュランにこれまでに400勝という優勝をもたらしてくれた全てのライダー達に感謝を述べたいと思いますし、次なる100勝を目指していきたいと思います。」

<ミシュラン プレスリリース>

(Photo courtesy of michelin)