ホルヘ・ロレンソは最近のインタビューの中で、Ducatiからの復帰は実際に起こり得たと語った。しかし、達成した目標、様々なリスクを考えた結果として、結果を常に求められるファクトリーライダーとしての重責を担うことは出来ないと判断したようだ。

現在はヤマハテストライダーとして来年も契約を更新することを望んでいると語り、10/7、10/8に予定されるポルティマオテストでもロレンソが活躍する姿を見たいものだ。

自分のレースキャリアは終わったと言える

ホルヘ・ロレンソ

「今は興味があることに好きなだけ時間を使うことが出来ます。家にいる間はトレーニングを朝にして、午後は勉強したり将来のことを考えたり楽しんでますよ。引退してしまって退屈だというのは確かにありますけどね。」

「レースは恋しいですし、勝利のフィーリングは懐かしいです。他の何かで体験することは出来ない感情です。そして優勝してチームと共に優勝を祝うこと。これこそ最も懐かしいものですね。しかし怪我をすることや、日曜のレース前の緊張などは、まったく恋しくありませんね。」

「人生の中で欲しいものすべてを達成することは出来ませんし、自分の場合、色々と体験した中でレースをすることのネガティブさがポジティブさを上回ってしまったんです。ですから、ある時点で今まで我慢してきたもののために人生を生きようと思ったんです。」

「実際Ducatiからの復帰は、あと少しで実現するところでした。ロックダウンの最中に、ジジ・ダッリーニャから誕生日のお祝いの電話があって、色々個人的なこと、家族のことなどを話しました。その後に、興味本位で今後のチームをどうする予定なのか聞いてみたんです。」

「その後ミケーレ・ピッロからメッセージが来て、Ducatiに復帰する気はあるか?と聞いてきたんです。ジジ・ダッリーニャとの電話、ピッロからのメッセージの間に、Ducatiがある程度自分に興味をもっていると感じましたし、現役復帰する事を考えはじめました。

「ロックダウンのせいか、優勝の感覚が恋しかったのか、電話をきっかけに現役復帰を真剣に検討し始めました。交渉をはじめて契約を結ぼうかというところまで行きましたが、復帰しないことを決めました。

数日間悩んだ後、ジジに残念ながら復帰は出来ないと伝えたんです。彼にはDucati内部で気まずさを感じさせてしまい、今でも申しわけないと思っています。もし最初から明確なアイディアがあれば、交渉すらしなかったでしょう。」
ホルへ・ロレンソ
「自分の事を信頼してくれるのであれば、それには応えたいですからね。しかし落ち着いて考えた結果、ファクトリーライダーの重責を担う事はもう出来ないと考えました。

「復帰する可能性は時間経過とともに減少していきます。今回の決断をした事で、自分のレースキャリアは終わったと言えるでしょうね。もちろんなんらかの形でMotoGPには関わっていたいと思いますが。」

ホルへ・ロレンソ

ヤマハのテストライダーを継続することが目標

「ヤマハから説明を受けている内容では、コロナによって日本からの人の移動が難しい事が、自分がほぼテストに参加できていない理由です。自分の経験を活かせないのは残念ですよ。」

「もちろん来年もヤマハのテストライダーとして契約を更新したいと思います。ヤマハが自分を必要とし、バイク改善のためのテストチームを組織したいと考えている事を願います。自分の経験は大いに役立つと思いますね。実際に他のメーカーからもオファーが来ていますが、名前は明かせません。

マルクが勝ち続ける限り、ホンダはバイクを変えようとはしない

「チャンピオンシップは接近していますが、近年ドルナが行ったルール改定のおかげで、各メーカーが接近しているのだと思います。ラップタイムも接近していますし、優勝が分散している事からも明らかです。また、マルクという最強ライダーが不在である事も、多くの選手にチャンピオンシップ優勝の可能性を考えさせるのに十分です。」

「ホンダと契約した当時、ホンダのプライオリティーは乗りやすいバイクを作ることではなかったはずです。もちろんホンダに留まっていたら、ある程度乗りやすいバイクにする事は出来たと思いますけどね。」
マルク・マルケス
マルクが勝ち続ける事で、彼の独特なスタイルにバイクがどんどんと寄っているのは事実でしょうし、彼が勝ち続ける限り、ホンダもバイクを変えようとは思わないでしょう。

ミラーのチームメイトは理論的に考えればペッコ

「ドヴィツィオーゾと彼のマネージャーは受け入れられる条件とそうでない条件が明確にあったという事ですね。ドヴィツィオーゾは最終的にDucatiが歩み寄ってくると思っていたようですが、そうはなりませんでした。マーケットは素早く動いていますから、今や彼に残されたオプションはほとんどありません。」
ドヴィツィオーゾ
ペッコとザルコならば、理論的に考えればペッコを選ぶでしょう。彼は若いですし、怪我をした状態であのパフォーマンスですからね。彼のスタイルは自分のような高いコーナリングスピード、スムースなライティングですよね。」
フランセスコ・バグナイア
「ポルはホンダで成績を残せるとずっと思っているようですが、そう簡単に行くとは思えません。とは言え、何事も起こりえるのがMotoGPです。」

マーべリックにはもっと期待していた

「2019年終わりとプレシーズンテストでスピードがあったので、もう少しマーべリックには期待していたんです。彼は自信を得て次のステップに進むために準備が出来ているように思えたんですけどね。残念ながら良い走りが出来ていませんし、オーストリアの2戦は実に残念でした。彼には才能もスピードもあります。しかしタイトルを獲得するには全てのピースが揃っている必要があるんです。彼が良い走りが出来ることを期待しています。」
マーべリック・ビニャーレス
「オーストリアの事故は、このスポーツが本当に危険なものだと思い起こさせますね。たった1秒で人生がガラッと変わってしまうんですから。ですから、一度自分が定めたゴールを達成したと感じた後は、このスポーツを続けてリスクを取るか否かを真剣に考えるようになるわけです。

(Photo courtesy of michelin, Ducati, Yamaha, HRC)