寒さとトラブルの中、表彰台圏を維持するホンダ勢

2025年ワールドラリーレイド選手権(W2RC)第3戦、南アフリカ・サファリラリーのステージ3が終了。マラソンキャンプでの極寒の一夜を経て、モンスターエナジー・ホンダHRCのライダーたちは野生動物と自然に囲まれたサバンナを駆け抜けた。この日のステージは全長509km(うちスペシャルステージ246km)で構成され、ボツワナ国境付近まで北上するルート。ゲートやシロアリ塚が点在する複雑な地形を縫いながらのナビゲーションが大きな鍵となった。

リッキー・ブラベックはステージ4位でフィニッシュし、総合順位を再び3位に引き上げた。序盤は快調に飛ばしたものの、終盤のクラッシュと排気系トラブルにより時間を失う。ステージ後半は追い上げを見せ、首位とは8分19秒差で残り2ステージに臨む。エイドリアン・ヴァン・ベヴェレンは動物と間近に過ごしたマラソンキャンプでの体験を胸に、前向きにステージへ臨んだが、ナビゲーションミスが響き5位に後退。総合では依然として4位(+9分24秒)を維持しており、表彰台を射程圏に捉えている。

スカイラー・ハウズはステージ6位。ナビゲーションミスで複数回フェンスの反対側に出てしまい、タイムをロス。総合では5位(+29分32秒)をキープしており、地形への適応力を高めつつある。

チーム代表 ルーベン・ファリア

「今日は思ったような展開にはならなかった。ライダーたちはナビゲーションやトラブルに苦しみました。エイドリアンは少し体調を崩していたようだし、リッキーは排気トラブルで何度も止まる必要があった。スカイラーも含め、みんな同じ場所で道を見失っていたようで、ロードブックの情報不足が影響したと思います。まだ2日残っています。明日から挽回を目指していきましょう。」

リッキー・ブラベック(ステージ4位/総合3位)

「マラソンキャンプの夜は寒かったですが、今は暖かいサンシティに戻ってきて嬉しいです。スペシャルはそこまで長くなかったですが、リエゾンが過酷でした。前半は良い走りができましたが、終盤で思ったよりタイムが詰まらず、焦ってしまいミスをしてしまいました。転倒もありましたし、排気系の問題で止まることもありましたが、まだチャンスはあります。」

スカイラー・ハウズ(ステージ6位/総合5位)

「今はサンシティに戻れてホッとしています。ライオンキャンプでの一夜は本当に寒かったです。このラリーは本物ですね、ナビゲーションがとても難しい。今日もいくつかミスをしましたが、バイクのフィーリングは良いですし、セッティングにも満足しています。最後の2日でしっかりまとめたいです。」

エイドリアン・ヴァン・ベヴェレン(ステージ5位/総合4位)

「昨夜は動物の近くで特別な体験ができました。寒かったですが、寝袋でなんとか暖かく過ごせました。今日は頑張ってプッシュしましたが、給油後にタイムロスしているのを知って、さらに攻めた結果、ナビゲーションミスを2回やってしまいました。ラリーではよくあることですが、全力は尽くしたので満足しています。」

ラリーGP ステージ3 結果

  1. ダニエル・サンダース(KTM) – 3:06:46
  2. ルシアーノ・ベナビデス(KTM) +1:37
  3. ロス・ブランチ(ヒーロー) +2:39
  4. リッキー・ブラベック(ホンダ) +5:14
  5. エイドリアン・ヴァン・ベヴェレン(ホンダ) +6:26
  6. スカイラー・ハウズ(ホンダ) +8:01

総合順位(第3ステージ終了時点)

  1. ダニエル・サンダース(KTM) – 9:41:32
  2. ルシアーノ・ベナビデス(KTM) +2:48
  3. リッキー・ブラベック(ホンダ) +8:19
  4. エイドリアン・ヴァン・ベヴェレン(ホンダ) +9:24
  5. スカイラー・ハウズ(ホンダ) +29:32

次戦プレビュー:ステージ4は山岳地帯が勝負の鍵

5月23日のステージ4は、470kmのリエゾンと224kmのスペシャルで構成される。ボツワナ国境沿いを進み、オープングラスランドからブッシュ帯、さらに岩場を含む山岳セクションへと地形が変化。体力、集中力、そしてナビゲーションのすべてが試される一戦となる。ホンダ勢は総合優勝戦線に踏みとどまるため、攻めの一日が求められる。