ホンダ・モーター・ヨーロッパは、イタリア・ミラノで開催された第82回EICMA(ミラノ国際モーターサイクルショー)において、革新的な二輪技術とサステナビリティへの強い取り組みを改めて示した。今年のEICMAでは、ホンダ初となる電動バイク「WN7」、さらに新たな試作モデル「V3R 900 E-コンプレッサー」を発表。技術革新と持続可能な開発の両面でリーダーシップを確立した形だ。加えて、ホンダは展示ブースの持続可能な運営が評価され、「EICMA 2025サステナブル・エキシビター・アワード」を受賞。同イベントは国際的なISO 20121認証をTÜV NORD Italiaから取得しており、その中でホンダの取り組みが際立った形となった。

LCA分析による環境負荷の徹底削減
ホンダは展示ブースの設計・施工にあたり、「ライフサイクルアセスメント(LCA)」を導入。科学的かつ体系的な手法で環境負荷を定量的に評価し、大幅な削減を実現した。EICMA最大規模(3,000平米超)のホンダブースは、77.5%がリサイクルアルミで構成されたモジュラープロファイルを構造材とし、装飾部には多層ポプラMDF(CARB P2認証)を採用。ビジュアル素材にはOEKO-TEX® Standard 100認証のテクニカルポリエステルを使用し、複数回の再利用を前提とした設計だ。さらに、フロアには再利用可能で移設が容易なモジュラープラットフォームを導入。耐久性・軽量性・輸送効率に優れ、総合的な環境負荷の低減に貢献している。
LCAの結果、1回のイベントあたりの環境フットプリントは 31.72 tCO₂eq と算出され、従来の素材(チップボード、PVC、接着剤等)による展示と比べて 97.2%の削減 を達成。初期排出量は 1,131.3 tCO₂eq に達するが、部材の再利用により、毎回 約1,100トンのCO₂eq削減 が可能になるという。
サステナブル展示の実現と、移動・運用効率の最適化
ホンダの取り組みは、単にCO₂排出を減らすだけにとどまらない。設営・輸送・保管・再構成の各プロセスも最適化され、全体としての廃棄物削減と運用効率向上に繋がっている。
ホンダ・モーター・ヨーロッパ イタリア ジェネラルマネージャー ウィリアム・アルムッツィ
「今回の受賞は、2050年までのカーボンニュートラル実現に向けたホンダの継続的な取り組みを裏付けるものです。サステナビリティは私たちにとって“目標”ではなく、“継続的な旅”なんです。製品の製造から、コミュニケーションやイベントに至るまで、すべての活動の中心に“人と地球”を据えることを大切にしています。この表彰は、責任あるイノベーションを今後も進めていく大きな励みになります。」
技術革新 × 環境配慮で次世代モビリティをリード
EICMA 2025でホンダが打ち出したのは、単なる新製品発表にとどまらない。革新・効率・環境意識を兼ね備えた展示ブースそのものが、今後のモーターサイクル業界における「持続可能なモデル」としての新たな指標となった。ホンダは今後も、技術と責任の両立を軸に、持続可能なモビリティの未来をリードしていく構えだ。
中の人は元スズキ(株)気になるバイクニュースを2014年から運営しています。愛車遍歴はGSX-R1000K5、DucatiモンスターS2R、Ducati 916、XR230F、GSX-R600 K7、最近はまた乾式クラッチのDucatiに乗りたいと思っています。