PIAGGIOグループはEuropean Patent Officeに対して「MOTORCYCLE WITH IMPROVED AERODYNAMICS」名称で特許申請を行っているが、この中にアプリリアのMotoGPバイク RS-GPに関するリアスポイラーの特許内容がまとめられている。特許として申請していることから、将来的な市販車への応用の際などでの権利保護が目的だと思われる。パテントとして一般公開されている内容から、その技術を理解してみよう。

リアスポイラーの目的

該当のリアスポイラーはリアカウリングの上部に取り付けられており、リアホイールにダウンフォースを生じさせる。この力は特にトレールブレーキング、急制動時に効果的であり、リアホイールのバウンスを減少させ、バイクのグリップを改善し、コーナーへの進入を容易にする。

車体リアエンドに生じる大きな荷重は、例えば下り坂のようなうねりのある直線区間でバイクが約350km/hの速度に達し、グリップが失われがちな局面で有用である。このソリューションははまた、バイクの車体バランスの改善をもたらし、タイヤの摩耗を減少させる。また、両タイヤが地面に接触している際のブレーキ中にもより良いグリップが得られるようになる。

リアスポイラーはシート後方に位置するバイクのリアエンド遠位に配置することが望ましいとされている。すなわち、リアエンドの終端位置は、ドライバーの背後に生じる乱気流を最小限にし、より大きな空力を得るために可能な限り直線的な流れを利用することができるようだ。

このリアスポイラーがあることでリアホイールに数キログラムの加重空力を生じさせることが可能で、バイクのグリップを高めることが可能。なお、スポイラー幅はリアのカウリング後端と等しい幅が望ましいとされる。

アプリリアはこうしたリアスポイラーを初めてMotoGPに導入したチームと言えるが、今ではこうしたリアスポイラーの装着は完全にトレンドになったと言える。市販車ではすでにウイングレット装備のバイクが増えているが、2024年はMotoGP同様にリアスポイラーを搭載した市販車も登場してくるかもしれない。

(Photo courtesy of espacenet.com)