★ブレーキディスクの温度が1,000度以上に達するF1、ブレーキの動作回数が4,000回を超えるル・マン

Porsche Team - Porsche 919 Hybrid #17

普段4輪ネタは扱っていない本サイトですが、ブレンボさんからF1とル・マンの車両におけるブレーキの違いについて解説をいただきましたのでご紹介させていただきます。普段2輪のことしか考えていないと、こういう情報は本当に興味深いですね。

F1 vs ル・マン:ブレンボ製ブレーキシステムの比較

LMP1クラスのマシンとF1マシンでは、ブレーキシステムに相違点と類似点があります。ブレンボがそれぞれに供給しているシステムについて比較してみましょう。4輪のプロトタイプマシンの2大レースとして揺るぎない地位にあるF1とル・マン24時間レース。参戦する各メーカーの開発競争は近年ますます熾烈を極め、搭載するエンジンが1,000馬力を超えるマシンも登場してきています。

こうした現状に対し、搭載するブレーキシステムにはいっそうのハイパワーと信頼性が求められます。F1は減速度が非常に高く、5Gを超えることも少なくありません(モンツァでは5.8Gにも達します)。一方、ル・マン24時間レースでは、減速度は最高でも3.5Gです。この差は車両の質量の違いによるものです。F1マシンは、ドライバーを含む最低重量が728 kgであるのに対し、LMP1マシンは875kg(ハイブリッドマシン以外のLMP1は855kg)となっています。

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逆にレース時間は、F1は長くても2時間、ル・マンはもちろん丸一日の24時間です。この違いを踏まえたうえで、長さ、カーブ、地形、気候の条件が似たサーキットで比較してみると、スパ・フランコルシャンで開催されるF1ベルギーGPでは、ブレーキ区間がおよそ350か所であるのに対し、ル・マン24時間レースのブレーキの回数はトータルで4,000回にのぼります。ブレンボにとっては実に厳しい条件ですが、耐久レースにおける20年以上の経験を生かして最適のシステムを供給し続けています。

F1とル・マンで唯一共通する要素は、ディスクの素材がカーボンだということです。これ以外の要素は、次の表に示すとおり大きく異なっています。

F1

ル・マン24時間レース

32 mm

ディスクの厚さ

30/32 mm

278 mm

フロントディスクの直径

320-370 mm

278 mm

リアディスクの直径

320-350 mm

1,400個以上

ベンチレーションホールの個数

36個~430

350度~1000

動作温度範囲

350度~800

1 mm未満

摩耗量

34 mm

ル・マンのプロトタイプマシンが厚めのディスクを使用する理由は、24時間交換なしで完走するためです。これをブレンボは2001年にチームヨーストのアウディR8で達成しました。ディスクの直径の違いは、それぞれのレースが規定しているリムのサイズによるものです。F1では現在13インチとされていますが、ル・マン24時間レースは18インチです。

ベンチレーションホールの個数は、LMP1カーの場合、F1ほど多くはありません。ル・マン24時間レースでは、ブレーキシステムの課題がF1とは正反対だからです。つまり、いかに冷却するかではなく、いかに冷やしすぎないかが重要になってきます。特に夜間やセーフティーカーの先導中に冷えすぎないような対策が必要です。

F1と同様にル・マン24時間レースのマシンも、ブレンボ製のカーボン素材のブレーキパッドを使用しています。パッドももちろん厚めで、24時間続くレースに十分対応できる仕様になっています。パッドとディスクの摩耗量は、F1の場合1mm未満ですが、ル・マン24時間レースのプロトタイプマシンでは、ディスクで3mm~4mm、パッドで8mm~10mm摩耗します。

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