シルヴァン・ギュントーリが教える「プロのようにサーキットで走るための10のポイント」

シルヴァン・ギュントーリ

世界的にレース活動が出来ず、Stay Home週間が続く中、Team SUZUKI ECSTAR(チーム・スズキ・エクスター)のテストライダーであるシルヴァン・ギュントーリがサーキット走行のポイントを紹介している。サーキット走行経験者にとってもシフトダウンの解説など目から鱗の内容ではないだろうか。

シルヴァン・ギュントーリ

「プロのようにサーキットで走行するための10のポイントを教えましょう。」

ポイント1:視点は進行方向に向ける

まず1つ目は視点です。バイクのすぐ先を見るのではなく、視点はその先にある進行方向を見ます。例えばコーナリングをする際に路面を見るのではなく、コーナーのエイペックスの先にあるコーナー出口を見るようにします。プロライダーの写真、ビデオを見るとわかるように、視点は常に進行方向の遥か先を向いています。常に先の状況を予測することで自信を持ってライディングすることが出来るんです。

「ポイントは常に行きたい方向を見ること。少々馬鹿らしく聞こえるかもしれませんが、これは一般道で走っていてもそうです。例えば何か障害物があったとして、そればかりを見ていると、そこに突っ込んでいってしまうものなんです。障害物の先を見て行きたい方向をしっかり見据えていると、障害物をかわすことが出来るでしょう。そしてサーキット走行でもこれは全く同じなんです。自分が行きたい方向をしっかりと見てください。そうすればバイクもその方向に進んでいきます。

ポイント2:正しいラインを走行する

2つ目は正しいレーシングラインを走行するということで、非常に重要なことです。これはサーキット走行をする上で基礎となるもので、走行スピードに関わらず基本的に走行ラインは同じです。初心者もベテランであっても正しい走行ラインは同じなんです。特に初心者の場合は正しい走行ラインを走ることが非常に重要で、間違ったラインで走行を行うと、間違った走行ラインによる制約をどうしても受けることになります。正しい走行ラインを知ることで、サーキット走行の習熟はより良く、より早く、より安全に行うことが出来ます。
シルヴァン・ギュントーリ

ポイント3:基本的なボディーポジションを知る

3つ目は正しいボディーポジションを知るということです。まずストレートではお尻をシート後方にずらし、両肘でタンクを挟むようにします。そして胸をタンクにつけ、背中は出来る限りフラットに、頭は出来る限り低くします。」

「そしてブレーキングではブレーキをかけながら体を起こし、体で風を受けます。そしてお尻をコーナーのイン側に入れます。もし足出しをするならばイン側の足を出しつつ、アウト側の足の太もも内側でタンクを押さえつけます。ブレーキをリリースしながらコーナーに進入する際は、頭、肘、肩をコーナーのイン側に入れます。これで重心がイン側に寄り、重心が低くなります。これによってコーナリングを助けることになります。重要なのはしっかりとコーナー出口を見ることです。

「コーナー立ち上がりではスロットルを開けてバイクを徐々に起こしていきます。リーンアングルが減少することで、さらにパワーを路面に伝えることが可能になります。バイクを起こす動きは基本的にバイクを自分から遠ざけるような動きになります。体を動かす必要はなくて、バイクを遠ざける動きをするとバイクが自然に車体を起こします。そしてまたストレートのポジションに戻るわけです。」

ポイント4:コーナ出口こそが最優先

4つ目として、コーナー進入の際に進入速度を上げようとすることに意識を集中しないようにしてください。あまりにも速い速度でコーナーに進入すると、コーナー中盤、そして立ち上がりで妥協した走行ラインを取ることになりかねません。コーナーには自分が快適、安心を感じられる速度で進入するようにしてください。そしてコーナーリングからマシンを起こしつつ加速していきます。」

こういう走り方を繰り返して自信を得て、タイムが速くなってきたら、コーナーリングでプッシュすることを考え始めましょう。リラックスしてコーナリングを行い、スロットルを開けて立ち上がることに意識を集中してください。」

ポイント5:スロットルコントロール

5つ目はスロットルをしっかりと開けることと、コントロールです。コーナー立ち上がりでがむしゃらに大きくスロットルを開ければ良いわけではありません。こういった操作は非常に危険です。コーナー立ち上がりでスロットルを目一杯開けられると感じる時は、次のラップでは少し進入速度を高めてみましょう。忘れてはいけないのは、スロットルコントロールは常に繊細に行う必要があるということです。」

ポイント6:ブレーキングコントロール

6つ目です。ブレーキングに関しては、スロットルを戻すと同時に最大限のブレーキをかけます。そしてコーナリングを始めるにつれて、エイペックスまでに徐々にブレーキを弱めていき、リリースします。基本的にプロライダーのブレーキのかけ方としては、最初の最大限のブレーキ力を一気に発生させ、その後エイペックスに向けて徐々にブレーキを弱めていくことになります。

ポイント7:シフトダウン

7つ目はシフトダウンです。シフトダウンはスロットルを戻してブレーキング開始と同時に行います。実際には3つの操作を同時に行っているようなイメージですね。このタイミングでシフトダウンをしないと、エンジンブレーキが制動力としてしっかり効いてしまいます。低回転でのエンジンブレーキの制動は”ダーティーエンジンブレーキ”と呼ばれるように、しっかりとしたコントロールが難しいものなんです。

シフトダウンと同時にシフトダウンをすると、回転数はレッドゾーンを超えるでしょうが、よりクリーンなエンジンブレーキによる制動力を使用出来ます。こうすることでブレーキングでコントロール出来なくなったり、止まるのが難しいと感じることはないでしょう。」

「速いライダーは皆こうしています。昔ジョナサン・レイのデータを見て驚いたことがあるんですが、彼はブレーキング開始前からシフトペダルを押し上げていて(※逆シフトなので)スロットルオフにした瞬間にシフトダウンをしていました。」(※スロットルを開けている状態ではギアは入らず、オフにした瞬間に入る)

「これはおそらくギアボックス、エンジン寿命には良くないでしょうが、ライダーというのは常に無駄を省こうとしており、バイクがニュートラルである状態を可能な限り最小化しようとしているわけなんです。つまり、加速しているか、減速しているか、いずれかの状況にしておきたいということです。ブレーキング開始と同時にシフトダウンをすることで、ブレーキング、バイクの制動が簡単になるんです。」
シルヴァン・ギュントーリ

ポイント8:スロットルロール

8つ目はスロットルロールです。プロライダーなら皆やっていることですが、スロットルはしっかり握り込んで開け締めするのではないということです。そんなやり方をしていたら、すぐに腕上がりになってしまいますからね。例えばストレートでスロットルを100%開ける際も、常にがっちりと握り込む必要はなくて、フルに開けた状態で手を軽く握って、リラックスさせておくんです。スロットルを開けるのなら2本指でも出来ますからね。」

ポイント9:リラックス

9つ目は、可能な時は出来るだけ体をリラックスさせるということです。1周の間に常に100%の力でバイクを抑え込んでいることは不可能です。ですから例えばストレートなど体を休められるところを探して体を休めることが必要になります。

「ストレートでは伏せているだけで、体のどこにも力を入れていません。ストレートエンドのブレーキングでは多くのエネルギーが必要ですから、ここに備えてしっかりと体を休めて、心拍数を落とし、エネルギーを蓄えておくことが重要です。

ポイント10:スロットルを100%開ける

10個目はスロットルをストレートでは100%開けるということです。トラック走行でパワフルなバイクに乗るライダーを見ていると、実に多くのライダーがスロットルを開けきれていません。GSX-R1000Rのようなスポーツバイクは、市販状態で200馬力を超えており、2速、3速、4速と加速していくだけでもコントロールが難しいものですから、スロットルを開けきれないのも不思議ではありません。」

加速の最中はバイクはウイリーしたり暴れまわったりしますので、多くのライダーがスロットルを戻して、また開けてを繰り返していますが、これはバイクをさらに不安定にしてしまいます。これによってストレートであっても容易にタイムを失ってしまうんです。」

こういう場合のアドバイスとしてはショートシフトを行うというものです。ショートシフトをすることで、有り余る多くのパワーを有効に使い切ることが可能です。ですから、特に2速、3速に関して苦戦することがわかりきっているのであれば、加速の際にショートシフトを用いて、周回ごとにバイクの操作、加速の仕方に慣れてきた段階で、徐々にスピードを上げていきましょう。

「バイクと格闘しながら加速し、そのままの状態でブレーキングを迎えるとなると、既に体力を消耗し、息も切れているかもしれません。ストレートはしっかりと体を休めるためにありますから、ショートシフトを用いて、周回ごとに徐々にスピードを上げていくようにしましょう。

(Photo courtesy of michelin)