オーストリアで強さを発揮してきたドヴィツィオーゾが今回のオーストリアGPを制した。波乱のレースは中断がなければポル・エスパルガロがリードして逃げ切った可能性もあったが、結果的に1度の中断でも集中を失わずにタイヤをコントロールしたドヴィツィオーゾの完勝だった。
Ducatiを離れる決断についての詳細は、今は語る時期ではなく、チャンピオンシップに100%集中したいと語る。
新しいタイヤがチャンピオンシップの流れを大きく変えている
アンドレア・ドヴィツィオーゾ
「ブルノのフィーリングを考えると悪くないレースでした。あの時点ではブレーキングがまともに出来ず、良いところが1つもないと言う状況でした。チームと共に問題を分析しFP1で反映したわけです。ブレーキングのアプローチ、セッティングを変えていますが、新しいタイヤがチャンピオンシップの流れを変えていることは間違いないでしょう。」
「今回のレースのライバルが強力で、特にリンスが後半に転倒していなければ、彼に勝つのは難しかったと思います。まだコーナーの中間部分、立ち上がりの最初のグリップ、ブレーキングに課題があります。これらの問題を解決しない限り、他のトラックで勝つことは難しいと思います。」
Ducatiで継続しないとわかったうえでの優勝は奇妙な感覚
「レースの前に戦略は立てていませんでしたが、レースの中で戦略を立てて走りました。既にDucatiと袂を分かつとわかっている状態でレースをするのは奇妙な感覚です。長年の友人と、この先友人づきあいは出来ないとわかって共にいるという状況ですからね。いずれにしても勝利は嬉しいです。」
新しいタイヤはミシュランの癖が強い
「自分の場合、最初からブレーキングをアグレッシブにかけるスタイルですが、ミシュランタイヤは受け付けません。3年をかけてミシュランタイヤにアジャストしてきましたが、新しいタイヤはミシュランの癖が強いですね。前半からの3戦はタイヤの特性に完全に合わせる事ができていませんでした。Ducatiの今までのセットアップが新しいタイヤに合わないのですが、時間をかけて分析をして必要な内容が理解出来ました。」
「今年のチャンピオンシップはとにかくタイヤへの適合が重要です。過去2年間はタイヤによってここまでアップダウンがあるシーズンはなかったので、妙なシーズンではあります。しかしこれもモータースポーツの一部です。何らかの変化によって影響を強く受けるということは、往々にしてありえるものです。ミサノも路面が新しくなりますから、こういうことはあり得るでしょうからね。」
Ducatiで継続しない理由は今語ることではない
「Ducatiで来年走らないということを、何も昨日今日で決定したことではありません。マネージャーと共に時間をかけて検討し、決定したことですから、今日のレースに対する心理的な影響は特にありませんね。」
「今はとにかくチャンピオンシップに100%集中しているんです。今年はこのチャンピオンシップの状況の中で最大限の力を発揮していくことが必要です。Ducatiで継続しないことを決めた背景については、今はまだお話するタイミングではないでしょう。」
ターン3の出来事は前後関係をしっかり理解することが重要
「ターン3のアクシデントに関しては何が起きたのかをしっかりと確認する必要があります。自分は転倒についてまだ1度しか映像を見ていませんが、2台(フランコ・モルビデッリ、ヨハン・ザルコ)のバイクは完全に妙な位置でした。通常のレーシングラインから外れた位置にいた2台について、前のコーナーから何が起きたかを追う必要があります。」
「ああいった事故の後でも走行することに関しては、そこまで人間らしくある必要はないと思っています。理性を強く保っているとしたら、そもそも限界までプッシュすることなんて出来ませんからね。自分がやるべきことに集中していくこと、それこそがライダーの仕事です。それに残念ながらこの仕事に関してはこういう危険はつきものですから。」
(Source: Ducati)
(Photo courtesy of michelin)