2025年9月15日(月)、サンマリノGP翌日のミサノで行われた公式テストでは、レッドブルKTMファクトリーレーシングのペドロ・アコスタがトップタイムを記録。一方、最も注目を集めたのは、ヤマハの新型V4エンジン搭載YZR-M1だった。

KTM:日曜の悔しさを晴らす快走

KTM勢はGPでの苦戦を払拭するかのようにテストで好調を見せた。アコスタはセッション序盤から積極的に走行を重ね、午後もタイムシートのトップを維持。高速コーナーではまだ完全に納得していないとしながらも、2回目のセッションで90秒切りに迫り、最終的に2番手に0.340秒差をつけて首位で終了。チームメイトのブラッド・ビンダーも最後まで走行を続け、終盤にタイムを更新して14番手につけた。

テック3のエネア・バスティアニーニは多数のセットアップアイデアを試し、マーベリック・ビニャーレスは負傷した肩の筋力回復に努めながら走行。ビニャーレスは最後の1時間でタイムを改善した。テストライダーのダニ・ペドロサは新型スイングアームとリアエキゾーストを装着して21番手、バスティアニーニは12番手、ビニャーレスは13番手で終了。

Ducati:アレックス・マルケスが2番手、バニャイアは転倒

アレックス・マルケス(BK8グレシーニ)は、電子制御とコーナー進入の改善をテーマにテストを進行。安定した走行でドゥカティ勢最上位の2番手を獲得。チームメイトのフェルミン・アルデゲルも電子系とタイムアタックに重点を置き、10番手に食い込んだ。

VR46のフランコ・モルビデリは終盤まで走行を続け5番手、ファビオ・ディ・ジャンアントニオが7番手で続いた。

フランチェスコ・バニャイア(ドゥカティ・レノボ・チーム)は2024年仕様のエアロと2025年仕様のシャシーを組み合わせ、感覚の回復を図ったが、最終セッションで1コーナーにて転倒。チャンピオンシップリーダーのマルク・マルケスは複数のスイングアームをテストし、6番手で早めに走行を終了した。ミケーレ・ピッロは大幅に変更されたフロントエアロを試し23番手。

アプリリア:ベッツェッキが再び存在感、マルティンも手応え

アプリリアは、マルコ・ベッツェッキがかつて試された構成のシャシーを再評価。電子制御とマッピングにも時間を割き、ホルヘ・マルティンはポジション改善とライダーエルゴノミクスの進化に言及。特にハンドル位置の改善が成果として現れたと評価した。

マルティンは「基本的なセットアップは75%仕上がった」と前向きなコメントを残し、最終盤に8コーナーで転倒があったものの、全体としては有意義なテストとなった。

ラウル・フェルナンデスは両セッションでトップ10入り、小椋 藍は日曜のクラッシュにより不参加。最終順位はベッツェッキが3位、フェルナンデスが4位、マルティンが9位で、アプリリア勢全員がトップ10入りを果たした。

ホンダ:確かな進歩を確認

ジョアン・ミル(ホンダHRCキャストロール)は金曜の転倒による痛みで欠場したが、ルカ・マリーニは新型シャシーとリアエアロをテスト。これは2025年序盤に使用されたものに類似しており、11番手でテストを終了。

ヨハン・ザルコも同様のパッケージを試し、15番手。ソムキアット・チャントラは早めに走行を終えて22番手。

ヤマハV4:話題の中心に

ヤマハの新型V4エンジン搭載YZR-M1がミサノテスト最大の注目ポイント。ファビオ・クアルタラロ(モンスターエナジー・ヤマハMotoGP)とジャック・ミラー(プリマ・プラマック・ヤマハ)が使用。まだ開発初期段階ながら、全ライダーが「ポテンシャルは明確」と前向きなフィードバックを残した。

クアルタラロは1分31秒598を記録し18番手。ラップタイムは現段階では判断材料にならないが、有望な出発点となった。アレックス・リンスは午前中の走行でクアルタラロより0.027秒速いタイムを記録し17番手。ミゲル・オリベイラがヤマハ勢最上位の16番手、ミラーは19番手。