ヤマハは2026年モデルとして、ミドルウェイトスーパースポーツの人気機種「R7」を大幅刷新。電子制御機能と車体剛性の強化を中心に、サーキットでも公道でも高いパフォーマンスと扱いやすさを両立させたモデルへと進化させた。

レース直系の電子制御がR7に搭載
新型R7には、R1から受け継いだ6軸IMU(慣性計測ユニット)を搭載。これにより、3段階のパワーモード、リーンセンサー付きトラクションコントロール(TCS)、スライドコントロール(SCS)、リフトコントロール(LIF)、ブレーキコントロール(BC)、エンジンブレーキマネジメント(EBM)、バック・スリップ・レギュレーター(BSR)といった多彩な電子制御が可能となった。
ローンチコントロール(LC)も装備され、ABSのリアのみオフにする設定も追加。すべての電子制御は、初心者向けの高サポートから、上級者向けのサポートオフ設定まで自由に調整可能。
Yamaha Ride Control(YRC)とMyRideアプリ連携
R1やR9同様、R7にもYRCが導入され、SPORT/STREET/RAINの3つのプリセットモードに加えて、2つのカスタムモードが設定可能。MyRideアプリと連携することで、スマートフォン上からもモードの編集と保存が可能。最大40種類のモードを保存できる。
クイックシフターと変速フィーリングの向上
第3世代クイックシフトシステム(QSS)を搭載。クラッチ操作なしでのアップ・ダウンシフトが可能で、2つの設定モードを用意。ドグギアの歯数や角度を変更することで、全体的な変速の滑らかさと車体挙動の安定感が向上している。
フレームとシャシーの大幅改良で剛性アップ
車体のパイプレイアウト、径、厚み、補強を全面的に見直し、ねじり、縦、横方向の剛性を向上。重さは従来通りに維持。新設計のスイングアームやトップブリッジも導入され、ハンドリングがよりダイレクトかつ安定。新採用のアルミピストンロッド(従来はスチール)により、フロントフォークの軽量化も実現。
初採用となるスピンフォージドホイールは、慣性を低減し、より鋭いターンと軽快な取り回しを可能にする。タイヤはブリヂストン製Battlax Hypersport S23を装着。
ライディングポジションの見直しと快適性の向上
ハンドル位置と燃料タンク形状の再設計により、前後方向への体重移動がしやすくなった。シート高は従来の835mmから830mmへと5mm低くなり、より多くのライダーにフィットする車体に。新形状のシートとR1と同じステップを採用し、下半身の安定性も向上。
5インチTFTディスプレイとコネクティビティ機能
5インチのフルカラーTFTディスプレイを新採用。スマートフォンとの連携により、通話、メッセージ、天気情報の表示が可能。ナビ機能にはGarmin StreetCrossアプリを使用。
トラックモードではラップタイムやセクタータイムを強調表示し、レース走行に特化したレイアウトに。新設計のハンドルスイッチで直感的な操作が可能となっている。
クルーズコントロールとスピードリミッター
3速以上かつ時速40km以上で作動するクルーズコントロールを標準装備。任意の速度設定や1km/h単位の微調整が可能。スピードリミッターも搭載され、安全性と利便性を両立。
Y-TRAC Revでデータロガー機能を活用
MotoGP風のデータ管理が可能なY-TRAC Revアプリを導入。傾斜角、回転数、スロットル開度などの走行データを記録・解析可能。ピットボード機能により、サーキット走行中でもメッセージの送信が可能。プレミアム機能のアンロックにはサブスクリプションが必要。
新世代Rシリーズデザインへと進化
YZR-M1のデザインDNAを受け継ぎつつ、空力性能の向上を追求。スリム化されたカウルと新形状のチンスポイラーにより冷却効率も改善。ヘッドライトは中央配置を維持しつつ、新レンズで空力効率をアップ。ウィンカーはミラー一体型とし、洗練された外観に。
70周年記念カラーを含む3色展開
2026年モデルには、白×赤の「70周年記念カラー」が限定設定される。1999年の限定R7を想起させるこのカラーは、2025年にMotoGPや鈴鹿8耐で登場し話題を呼んだもの。ほかに「アイコンパフォーマンス」「ミッドナイトブラック」も選択可能。欧州での発売は2026年4月を予定。
パドックブルーアパレルと純正アクセサリー
R7専用のレーシングウェア「パドックブルー」シリーズや、70周年記念アパレルも展開予定。さらに、パフォーマンスを追求するライダーに向けた純正GYTRパーツ群も後日発表予定。
【主要スペックハイライト】
- 689cc CP2エンジン(直列2気筒、水冷、DOHC)
- R1由来の6軸IMU搭載
- 電子制御(TCS, SCS, BC, LIF, EBM, BSR, LC, ABS OFF対応)
- 第3世代クイックシフトシステム
- カスタマイズ可能なYRCモード(SPORT, STREET, RAIN, CUSTOM)
- 5インチTFTディスプレイ&スマートフォン連携
- クルーズコントロール/スピードリミッター搭載
- スピンフォージドホイール&ブリヂストンS23タイヤ
- 空力性能向上の新型カウル&ライト
- 専用アプリ「MyRide」および「Y-TRAC Rev」対応
中の人は元スズキ(株)気になるバイクニュースを2014年から運営しています。愛車遍歴はGSX-R1000K5、DucatiモンスターS2R、Ducati 916、XR230F、GSX-R600 K7、最近はまた乾式クラッチのDucatiに乗りたいと思っています。