ポールポジションを獲得し、レースに挑んだヨハン・ザルコ。序盤は飛ばしてレースをリードしたいと語っていたがスタートに失敗。ポル・エスパルガロとの接触でロングラップペナルティーを食らうものの、完璧なラインコントロール(※タイヤはラインの内側、膝は外側だった。タイヤがラインを超えるとペナルティーやり直しとなる。)で超高速なロングラップペナルティーをこなし、誰にも抜かれずレースに復帰。その後も迫るアレックス・リンスの追撃を振り切って見事に表彰台を獲得した。
ヨハン・ザルコ

序盤はレースをリードしようと思っていた

ヨハン・ザルコ

ポールポジションからスタートし、コンスタントな走りで最初の2周くらいはレースをリードしようと思っていました。しかしスタートを失敗してしまいポジションを失いました。その後はポルに抜かれましたが、彼は何度かミスを犯し、ワイドになってエイペックスを逃しました。」

彼がワイドになった際、ロングコーナーでのコーナリングスピードという自分の長所を活かしてインに飛び込んだわけです。自分がイン側にいて彼と接触しましたが、その後彼がどうなったのかわかりませんでした。しかし、ルールが厳しくなっていますから、何かしらペナルティーの可能性を恐れていました。」

「しかし、すぐにはペナルティーは出ませんでしたし、あの形でペナルティーを食らうことはないだろうと思っていたので、ロングラップペナルティーは驚きでしたね。あれで完全に表彰台を逃したと思ったんです。

ヨハン・ザルコ

ロングラップペナルティーで誰にも抜かれず驚いた

ロングラップペナルティーで確実に数名に抜かれると思ったんですが、誰にも抜かれずに済んで、速くフランコ・モルビデッリを追わねばと思っていたんです。最後はリンスが接近してきましたけど、インサイドを占めてブロックラインで走行して表彰台を獲得しました。」

「ロングラップペナルティーを見た時はすぐに実行せねばと考えました。とにかくフランキーを追うことを考えていましたから、いつペナルティーを実施するかなどは考えませんでした。いつも市街地を走るのにムルティストラーダを使っているんですけど、汚れた路面を大きな曲がり方で走ることになりますが、これが役立ったのかもしれません(笑)

「今後はスタートを改善することが必要です。Ducatiではコーナー進入、ブレーキングが安定していますし、立ち上がりのフィーリングも悪くありません。今後もバイクに関して何をしていくか明確ですし、さらにコントロールしていけるでしょう。」

他のDucatiの不調の原因は不明

なぜ他のDucatiが苦戦しているのかはわかりませんが、自分は新しいタイヤを履いて少なくとも1周は高速タイムを記録出来ることがわかっていました。これはそもそもヘレスでは自分の弱点だったんです。ですから今日はスタートはミスしたとは言え序盤から飛ばしていこうと思ったんです。それに今日は集団でバトルをすることがなかったのもタイヤを温存するのに役立ったと思いますね。」

「他のDucatiと比較しても仕方ないと思っていますが、Ducatiがチームに多大な協力をしてくれていることは間違いなく、その中で思っていたより速く、むしろ完璧なタイミングで結果を出すことが出来ました。Ducatiにも良い印象を与えることが出来たでしょうしね。オーストリアはDucatiと相性が良いトラックですが、簡単なレースになるとは思いません。」
ヨハン・ザルコ
今までAvintiaはDucatiからの技術的な支援が少なく、Ducatiのエンジニアもいませんでした。MotoGPで戦うには全てのディテールが重要で、今年はDucatiからのサポートも厚いですし、しっかりとチームも恩返しをすることが出来たと思います。今週は良い結果を出すことが出来ていましたけど、ライダーの結果が良いとチームの全てのメンバーもやる気を出して、より情熱的に仕事にあたってくれるものなんです。」

KTMを離れたことは後悔していない

KTMを離れたことは後悔していません。ブラッドのことは本当に嬉しく思いますし、あの時点で自分にKTMでレースを続けるという選択肢はなかったんです。Ducatiで走り始めた時に感じたチームの雰囲気はMoto2で感じたような良い感触でした。これはイタリア人気質なのかわかりませんが、2月のセパンテストでDucatiに乗っていて大きな自信を感じることが出来たんです。」

「ブラッドのチームは自分がいたチームなんですが、彼がチームに自分が与えることが出来なかった結果をもたらしてくれたのは、チームのためにも良かったですね。」

(Source: Ducati)

(Photo courtesy of michelin)