MotoGP2026 バレンシアテスト フェルナンデスとベッツェッキがアプリリアを最速に導く ヤマハはバレンシアでV4プロジェクトを前進

2026年シーズンの幕開けを告げる公式バレンシアテストで、ラウル・フェルナンデス(トラックハウスMotoGPチーム)が1分29秒373のベストタイムを記録し最速をマーク。マルコ・ベッツェッキ(アプリリア・レーシング)も僅差の2番手に続き、アプリリアが1-2体制で冬季オフを迎える形となった。3番手にはアレックス・マルケス(BK8グレシーニ・レーシングMotoGP)が入り、トップ3は0.1秒以内の接戦だった。

アプリリア&トラックハウス:空力改革と上々の手応え

アプリリア勢は2025年仕様から大きく様変わりした空力パッケージを投入。ベッツェッキは前面・側面・後方にかけて新型パーツを試し、RS-GPの印象を大きく変えてきた。一方、2024年王者ホルヘ・マルティンは、ベッツェッキが今季後半に使用していたシャシーを搭載したマシンをテスト。怪我に悩まされたシーズンの締めくくりとして経験値を積むとともに、新型空力パッケージのテストも実施した。結果はベッツェッキが2番手、マルティンが16番手だったが、ノアーレの雰囲気は上々だ。フェルナンデスは新パーツこそ無かったが、電子制御関連の作業に集中。小椋藍はセッティングの変更とライディングスタイルの調整に取り組み、最多の64周を走破して11番手。トラックハウスにとっては非常に充実した1日となった。

ドゥカティ陣営:ブレガが輝きを見せ、アルデゲルも存在感

ドゥカティは各陣営で順調に作業を消化。ファクトリーのフランチェスコ・バニャイア(ドゥカティ・レノボ・チーム)は32周を走り、トップ6圏内を維持。残り45分でターン2で転倒するも、GP26の初期型に対する感触は良好で、フロントエンドの安定感が向上したと評価した。テストと最終2戦で臨時参戦中のニコロ・ブレガは一時4番手を記録し、最終的には8位で締めくくった。モトGPマシンへの適応が進んでおり、今後のテストにも期待がかかる。アレックス・マルケスはドゥカティ勢最上位の3番手。2026年型の開発にも重要な役割を果たした。チームメイトのフェルミン・アルデゲルは4番手と好位置につけ、2人で計93周を消化。グレシーニは強力な締めくくりを見せた。

ペルタミナ・エンデューロVR46ではファビオ・ディ・ジャンアントニオが7位。技術的トラブルもあったが作業を完了。負傷欠場のフランコ・モルビデリに代わり出走したチェレスティーノ・ヴィエッティは21周を走行し「人生で最高の日だった」とコメントした。

KTM勢:アコスタ最速で開幕 ビニャーレスとバスティアニーニは新パーツを評価

KTMはペドロ・アコスタ(レッドブルKTMファクトリー・レーシング)が注目を集めた。新しいサイドフェアリングを装着し、5番手で初日を終えた。チームメイトのブラッド・ビンダーは9番手。テック3ではエネア・バスティアニーニとマーベリック・ビニャーレスが新シートポジションをテスト。特にバスティアニーニにとっては2025年の課題だったポジション調整の一環だ。ビニャーレスは空力関連の作業を重点的に行い、6番手に入った。バスティアニーニは17番手で終了。

ホンダ勢:新型RC213Vを3人のワークス契約ライダーが初テスト

ホンダはアレイシ・エスパルガロからの好評価を受けた2026年型マシンを、ジョアン・ミル、ヨハン・ザルコ、ルカ・マリーニの3名が本格的にテスト。新エンジン、リアシートユニットの刷新、サイドの空力パーツの改良が施された。ミルが12番手、ザルコが13番手、マリーニが14番手と、三者とも僅差で並んだ。そして、Moto2王者ディオゴ・モレイラがMotoGPマシンでの初走行を実施。2025年型RC213Vで22位、トップから1.824秒差という結果ながら、順調な滑り出しを見せた。

ヤマハ:トプラックが衝撃デビュー V4プロジェクトがついに始動

ヤマハは2つの理由で注目を集めた。一つはワールドスーパーバイク3度王者トプラック・ラズガットリオグルの初テスト、もう一つは新型V4エンジンを搭載したYZR-M1の公開だ。ラズガットリオグルは初走行のバレンシアでファビオ・クアルタラロとの差を0.75秒まで詰め、アレックス・リンスやチームメイトのジャック・ミラーを上回る走りを見せた。

新型エンジンはまだ100%の出力には達しておらず、ストレートのトップスピードには課題が残る。とはいえマイオ・メレガリによれば、明日の非公開テストではシャシーと空力パーツの評価も行う予定で、開発は続行中。クアルタラロは1分29秒927で15番手。基準となるセッティングは模索中で、さらなるデータ収集が必要とされている。