2018年3月7日BMWモトラッドは、カーボンファイバーのリアスイングアームの製造と開発に関して、2018年のJECイノベーションアワードをレジャー&スポーツカテゴリーで受賞しました。式典はパリのNord VillepinteにあるJECワールドにおいて開催されました。BMWからはDr. Joachim Starkeが参加し、この賞を受賞しています。

JRCグループは1996年に創設され、複合素材の製造と開発に関するプロフェッショナルが世界中から集まっています。JECイノベーションアワードは国際的な専門家によって判断され、10のカテゴリーに30の企業がノミネートされていました。

BMWグループはカーボンという軽量素材を車とバイクの両方に使用しており、カーボンファイバーを特に重要なパーツに使用しています。最新のカーボンの使用例としてはBMWモトラッドのHP4 RACEです。このバイクはメインフレーム全体がカーボンファイバーで出来ており、このHP4 RACEのカーボンファイバーフレームは、2017年にモーターサイクルのシャーシ構造に関して新たな扉を開けたと言えます。技術、製造品質、そしてコストを初めて高い次元で融合したのです。

BMWモトラッドは産業プロセスにおいてモーターサイクルの世界の中で生まれたリアスイングアームのような軽量構造、そして優れた技術的性質をさらに追求します。そして、プロジェクトMAI hiras+handleは、最新技術であるMAIカーボンのプロジェクトの一環として、ドイツ連邦教育・研究省からの後援を受けています。

この共同ベンチャーの目的としては、業界から7つのパートナーを集め、高レベルの連続ストレスを受ける構造部品を炭素繊維複合材料(CFP)によって効率的に製造するプロセスを開発することでした。ある特定の部分の場合、熱可塑性のある材料によるCFPテープ補強材を使用した、炭素繊維強化プラスチック製射出成形部品の大規模生産に適した費用効率の高い製造プロセスを確立することもまた可能となりました。

プロジェクトマネージャーのElmar Jägerは、開発コンセプトについて次のように説明します。
「シャーシ部品に関しては継続的な負荷がかかり、要求される条件も多いことを念頭に入れていました。車の場合シャーシは外に見えませんが、バイクのスイングアームの場合、外に見えますから、我々の仕事がよく分かるという意味でプロジェクトには最適でした。応力パターンの要求によって、高強度エンドレス繊維の形態のCFPを使用する部分もあれば、応力レベルがそれほど高くない場合では、短いCFPリサイクル繊維を使用する射出成形部品が使用されます。このようにして同じツールを使用しながら、様々な強度のエンドレス繊維を使用することで要求に応じてスケール出来るコスト効率の良いデザインを開発することが出来たのです。これらが今回、専門家達に感銘を与えたポイントでした。我々が今回バイク用のパーツから得た教訓は、同様に車、そしてそれ以外の分野にも転用が可能なのです。」


Dr. Joachim Starkeはこの新しい製造プロセス、そしてそのアドバンテージについて語ります。
「軽量化というメリットに加えて、製造コストを今までよりも抑える事が出来ます。また様々な複合素材、メタルインサートを使用することで、コンポーネントの特性を正確に設定する技術を開発することが出来ました。このスケーラビリティが意味するのは、同じツールを使用して1分未満のサイクルで様々なコンポーネントを製造出来ることを意味します。これらの最大強度に関しては熱可塑的に接合可能なCFPパネルによって調整することが可能です。そして今回のプロジェクトは、溶接ロボットのテストの成功とも関わっています。これらの技術はコスト(材料コスト)、部品特性(強度と耐久性)に大きな影響を持ちます。」

BMWモトラッドは輸送用機器業界においてパイオニアとしての役割を持っています。今回得られたCFPの使用に関する知見はBMW i3(※量産車では初めてとなる、カーボン・ファイバー強化樹脂(CFRP)を採用)の開発に利用されています。そしてこの技術は新たなBMWのモーターサイクルと自動車の開発に関して興味深い側面を持っていると言えるでしょう。

<BMWモトラッド プレスリリース>