プロダクションベース車両におけるロサイル・インターナショナル・サーキットでのブレーキングシステム

2019年のWSBKはロサイル・インターナショナル・サーキットで最終戦を迎えます。MotoGP同様にWSBKのレースも夜間に開催されます。ロサイルはドーハから23km北に位置しており、建造には6,000万ドルの費用がかかっており、2004年にMotoGPを初めて開催しています。スーパーバイクのレースが開催されたのはそれから1年後でしたが、2010年から2013年の間にレースは行われていません。なお、今週末のWSBKはレース1が金曜日、レース2が土曜日に開催されます。

地球上最も気温が高いエリアにあるにも関わらず、このトラックでは気温の問題がありません。これはレースのスタート時刻が午後8時であるということで、この時期の日没から3時間10分後のレースとなります。2016年のレースでは路面温度は28℃、2015年には34℃でした。

15名のWSBKライダーと密接に作業しているブレンボ(brembo)の技術者によると、ロサイル・インターナショナル・サーキットはブレーキへの要求度が中程度のサーキットです。難易度指数は1~5のうち3で、これはWSBK
を開催する別の3つのサーキットと同様です。
 

レース中にブレーキに求められること

16のコーナーのうちブレーキンブを必要とするのは13箇所で、WSBKの場合1周あたり38秒間ブレーキを使用することになります。これはレース全体で考えると32%となります。なお、MotoGPの場合はブレーキングを行うのは11箇所となります。

コーナーによって平均減速Gは異なり、0.6G〜1.3Gの減速Gが発生します。こうした理由から平均の減速Gは0.99Gとなります。ライダーがレース中にブレーキレバーに入力する力を合計すると、900kgをやや上回る程度となります。これはMotoGPライダーがブレーキに入力する力より50kg少ないものですが、これは主にレース距離の違いから発生しています。
 

最も過酷なブレーキングポイント

13のブレーキングセクションのうち、難易度が高いブレーキングセクションと考えられるのは4つ、4つが中程度、残り5が軽度となります。スーパーバイクの速度はMotoGPバイクより遅いものの、ターン1では強力なブレーキングが求められます。ここでのブレーキングでは、ライダー達は309km/hから92km/hまで277m、5.5秒間で減速することになります。このブレーキングでライダー達は5.3kgの力をレバーに入力、減速Gは1.3Gに及びます。ブレンボのHTC 64Tブレーキフルードが受ける圧力は11.4barに達します。

ブレンボのカーボンブレーキを使用するMotoGPライダー達のブレーキング距離は267mと短く、入力する力も5.1kgと低くなっていますが、MotoGPバイクの場合、350km/hから104km/hに246km/hも減速する必要があるのです。

ブレーキにとって2番目に厳しいブレーキングポイントであるターン16では、MotoGPとWSBKの違いは少なく、スーパーバイクは235km/hから91km/hに3.9秒で減速し、制動距離は169mです。減速Gは1.2Gですが、ブレーキレバーに加わる力が5.7kgを超えることはありません。ターン4でも減速Gは1.2となり、バイクは239km/hから110km/hに3.6秒間で減速します。この時の制動距離は175mとなります。

ブレンボ(brembo)の優勝数 

ブレンボ(brembo)のブレーキを装着したバイクはロサイル・インターナショナル・サーキットで開催された過去19回のWSBKのレースにおいて18回優勝しており、直近17回の優勝車は全てブレンボ(brembo)を装着していました。カワサキは過去2年間3レースで優勝。その全てがジョナサン・レイです。その他のメーカーはスズキが5回、アプリリア4回、Ducati3回、ヤマハ2回、ホンダが1回優勝しています。

(Source: Brembo)

(Photo courtesy of Brembo)