ブレンボが分析する 2021年MotoGP イタリアグランプリ

ブレンボが分析する 2021年MotoGP イタリアグランプリ

ブレンボが分析する 2021年MotoGP イタリアグランプリ

317mに及ぶブレーキングで、ブレーキディスクの温度は770℃に達する

MotoGPチャンピオンシップで全てのMotoGPライダー達と密接に仕事をしているブレンボのテクニシャン達によると、ムジェロ・サーキットはブレーキにとって中程度の要求度のサーキットだ。これは、イタリアで開催されるMotoGPで使用されるもう1つのサーキットであるミサノ・サーキットと同様。
ブレンボが分析する 2021年MotoGP イタリアグランプリ
このトスカーナ地方に存在するサーキットは、2021年のチャンピオンシップカレンダーの中でも、最も長いストレートのひとつ(1.141km)を誇り、MotoGPバイクのパワフルなエンジンとによる加速、そして最高水準のブレーキシステムが要求される。幸いなことに、14のコーナー間の距離があるため、カーボンファイバー製のディスクは十分に冷却時間を取ることが出来る。

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ブレンボが分析する 2021年MotoGP イタリアグランプリ

ブレンボのブレーキフルードは、沸点に達することなく300℃まで上昇

ブレンボは、ブレーキキャリパー、ディスク、パッド、ブレーキマスターシリンダー、クラッチマスターシリンダーに加えて、すべてのMotoGPライダーにブレーキフルードを供給している。フルードには2種類のタイプがあり、HTC64ブレーキフルードは、耐熱性が高く、吸湿性が高い。これは、大気中の水分(湿気)を吸収する性質のことだ。そのため、湿度が高い場合には1日1回の交換が必要となる。

一方、気温が低いときに使用するLFC600は、交換頻度が低く、圧縮性も安定しており、吸湿性も低い。また、両者の乾燥沸点は異なり、LFC600は約315℃、HTC64は約335℃となっている。

ロードバイク用ブレーキフルード

ブレンボが分析する 2021年MotoGP イタリアグランプリ
LCF 600 Plusは、サーキットでの使用を推奨しているが市販されている。しかし吸湿性が高いため、寿命が限られている。フルードの寿命は様々な要因に左右されるが、通常は2,000~4,000kmの範囲だ。他のDOT3およびDOT4レーシングフルードと混合することができるが、マグネシウム部品を使用したブレーキシステムには使用しない事が望ましい。

一方、ブレンボSport.Evo 500++ DOT4フルードは、乾燥沸点が270℃で、性能を損なうことなく公道での使用が推奨されている。その優れた特性により、交換が必要になるまでの走行距離が長く、通常は12,000~24,000km(7456~14912マイル)となっている。ただし、ミネラルフルード用に設計されたブレーキシステムには使用しないことが望ましい。

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200kgf(440.9 lbf)の負担軽減

ブレンボが分析する 2021年MotoGP イタリアグランプリ
MotoGPライダーがブレンボ製ブレーキを使用する回数は、1周あたり9回、合計29秒で、レース時間全体の28%に相当する。これは、ヘレスやル・マンでは34%、ポルティマオでは33%、ロサイルでは30%と、シーズン開始から現在までに開催されたすべてのグランプリの中で最も低い割合となっている。

スタートラインからチェッカーフラッグまで、ライダーがブレンボのブレーキレバーにかける力をすべて合計すると、780kgf(1719lbf)以上となり、ル・マンやヘレスよりも約200kgf(440.9lbf)少なくなる。その理由は、レバーにかかる力が4〜5kgfのブレーキングセクションが5つあることで、そのうち4つは減速度が1.1〜1.2Gであることが理由だ。

317メートルのハードブレーキング

ブレンボが分析する 2021年MotoGP イタリアグランプリ
ムジェロサーキットにある9つのブレーキングセクションのうち、2つはブレーキに厳しく、4つは中程度、残りの3つは比較的軽度のブレーキングに分類される。
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最もハードなブレーキングポイントはターン1だ。ここはダウンヒルセクションの先にあるブレーキングポイントで、MotoGPバイクは330km/h以上(Ducatiはそれ以上)で進入し、93km/hでコーナリングをスタートする。ライダー達は5.9秒かけてブレーキを使用し、制動距離は317メートルだ。減速Gは1.5Gに達し、ブレーキフルードにかかる圧力や9.9barに達し、ブレーキディスクの温度は770℃に達する。

(Source: Brembo)

(Photo courtesy of Brembo)

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