アラゴン戦から1週間後、スーパーバイク世界選手権はイベリア半島に戻り、ポルトガルのエストリルサーキットで開催される。17人名のスーパーバイク世界選手権のライダーと密接に仕事をしているブレンボの技術者によると、このサーキットはブレーキにとって厳しいサーキットだ。

ロングストレート、高速コーナー、低速のヘアピンコーナーが組み合わされているため、難易度インデックスは5段階評価で4となる。また、海に近いため、風で砂や埃がアスファルトに舞うことが多く、ライディングに支障をきたす可能性があり、グリップが低くなることが予想される。

新型キャリパーの3つのメリット

今年のブレンボの大きなイノベーションの1つは、ビレットアルミニウムで作られた、モノブロックキャリパーだ。このキャリパーは、アウターボディ上のフィンと、目立たないながらも2つの改良点によって際立った製品だ。キャリパーにあるフィンは、MotoGPのGP4キャリパーに採用されているものと同様のソリューションにヒントを得たもので、ブレーキシステムの熱交換を改善し、冷却性能に貢献している。

スーパーバイク用キャリパーは、ピストン径34mmの4ピストンラジアルマウントで、制動トルクを増幅するシステムを採用している。これは同じ力でレバーを操作しても、制動トルクが大きくなるというもので、ブレーキを使用していない時にモーターサイクルを減速させる力が発生しないように、スプリングデバイスを使用して残留トルク効果を低減するアンチ・ドラグシステムを搭載している。

街乗り用のバイクにもフィンを装着出来る

フィンはレーシングバイクだけの特権ではない。ブレンボGP4-RSキャリパーでは、ピストンの周囲にフィンが設けられており、空気に触れる面積が従来のキャリパーに比べて30%増加している。高い熱応力にさらされているキャリパーにおいては小さな差ではない。

他にも、ブレンボGP4-RSは、高度で複雑な鋳造技術により、定評のあるM4モノブロックキャリパーに比べて10%の軽量化を実現している。ピストンのフロント部分にリブを設け、最も重要なブレーキ操作時の変形を防ぐことで、高い剛性を実現しているのだ。

レースではブレーキシステムに大きな力が発生

エストリルにある13のコーナーのうち、10のコーナーで、スーパーバイクのライダーは1周あたり合計26秒近くブレーキを使用する。これはレースの27%に相当し、アラゴンと同等の値だ。しかし、ブレーキレバーにかかる負荷は、アラゴンでの725kgに対し、スタートからチェッカーフラッグまでは985kgと、格段に大きくなっている。

エストリル・サーキットにある10のブレーキングセクションのうち、6つのセクションでは、ブレーキング時の速度低下が80km/hを超えず、制動距離が75mを超えない。しかし、他の3箇所では、速度低下は140km/hを超え、ライダーに1.4G以上の衝撃がかかり、ブレーキシステムは3.5秒以上使用される。

305km/hから74km/hまで5秒で減速

エストリル・サーキットにある10のブレーキング・セクションのうち、ブレーキへの要求が高いのは3つ、中程度の難易度のものが4つ、残りの3つは軽度のものだ。

最もブレーキに厳しいのは1コーナーで、これは986mのストレートの影響でもある。スーパーバイクは時速305kmで進入し、時速231kmから235mのブレーキングで時速74kmまで減速する。ライダーは4.9秒間ブレーキを使用し、1.5Gに耐えることになる。

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(Source: Brembo)

(Photo courtesy of Brembo)