ヤマハ・モーターレーシングはモーターバレー・ユニバーシティ・オブ・エミリア・ロマーニャ(MUNER)との公式パートナーシップ締結およびAssociazione Motor Valleyへの正式加盟を発表した。これにより、ヤマハはエミリア・ロマーニャ州外に拠点を置く企業としては数少ない加盟企業のひとつとなり、教育・技術革新・次世代育成への取り組みが正式に評価された形となる。

モーターバレーとMUNERについて
MUNER(旧称:モータービークル・ユニバーシティ・オブ・エミリア・ロマーニャ)は、フェラーリやランボルギーニなどの自動車ブランドと、イタリアの4つの名門大学によって構成された産学連携ネットワーク。エミリア・ロマーニャ州政府の支援を受け、高度なモビリティとモータースポーツ工学の教育拠点として機能しており、理論と実践の融合に重きを置いた教育モデルを提供している。
ヤマハの参画内容
この提携により、ヤマハ・モーターレーシングは毎年約170名の学生と連携し、インターンシップの提供、ワークショップ、企業見学、専門セミナーの開催など、多岐にわたる教育協力を展開する。さらに、ヤマハのエンジニアが講師や教員として直接教育に関わる機会も設けられる。
学生は2年次後期からインターンシップへの応募が可能で、MUNER専用のマッチングプラットフォームを通じてヤマハの現場と繋がることができる。
ヤマハ・モーターレーシング代表 パオロ・パヴェジオ(マネージングディレクター)
「近年、“イタリアン・モーターバレー”と称される独自のエコシステムは、企業・サプライヤー・顧客・パートナー・教育機関が連携するグローバルな技術拠点へと進化しています。ヤマハは長年イタリアに拠点を持ち、近年はR&D活動に重点を置いてきました。その延長線上で、今回のMUNER加盟は極めて戦略的なステップです。」
「この提携により、我々の専門知識と情熱を学生と共有できるだけでなく、彼らの新鮮な視点やエネルギーからも多くを学べると確信しています。」
「ヤマハ・モーターレーシングは、レーシング、エンジニアリング、デザイン、ディストリビューション、音楽といった多様な領域が融合する“ヤマハ・キャンパス”(ジェルノ・ディ・レスモ)内に位置しており、100人以上のエンジニアが日々、量産車とモータースポーツ両方のプロジェクトに取り組んでいます。」
「MUNERとの連携は、創造性・持続可能性・学際的な協力というヤマハの理念と完全に一致しており、若手技術者に新たな可能性を拓くものになるでしょう。」
MUNER会長 アンドレア・ポントレモリ
「ヤマハ・モーターレーシングをMUNERネットワークに迎えることができ、大変光栄です。今回の提携は、学術的卓越性と産業界の技術革新を結びつける我々の使命を強化するものであり、モーターバレーの国際的魅力を裏付けるものでもあります。」
「ヤマハのモータースポーツ工学における専門性と技術革新への情熱は、我々の学生にとって非常に貴重な学習機会を提供することになるでしょう。」
MUNERの概要と実績
- 設立:2017年(エミリア・ロマーニャ州政府の支援による)
- 構成:4大学+主要自動車メーカー(フェラーリ、ランボルギーニ、ドゥカティ等)
- 修士課程プログラム:
- 高度自動車工学
- 電動車両工学
- インテリジェント車両向け電子工学
- 就職実績:卒業1年以内に95%が就職、そのうち70%がMUNER関連企業へ
- 教育内容:理論+実習(インターン、企業訪問、セミナー、共同講義)
- 特徴:自動車業界との深い連携、多様性・持続可能性・未来志向の教育に重点
今回の提携は、ヤマハが持つモータースポーツ領域での実績と技術力を、次世代の技術者育成に活かす重要な布石となる。イタリアが誇る自動車技術集積地「モーターバレー」において、“日本発のグローバルブランド”がどのような貢献を果たしていくのか、今後の展開に注目が集まる。
中の人は元スズキ(株)気になるバイクニュースを2014年から運営しています。愛車遍歴はGSX-R1000K5、DucatiモンスターS2R、Ducati 916、XR230F、GSX-R600 K7、最近はまた乾式クラッチのDucatiに乗りたいと思っています。