過去5年の長い苦闘を経て、マルク・マルケスは「人生の第2章」にいると感じている。弟アレックスとの3ポイント差を見据えながらも、焦らず冷静にタイトル争いに挑む姿勢はライダーとしての物事の見方の変化を物語っている。とは言え、今週末にタイトルを決める必要はなく、シーズン終了までにまだチャンスはあると語り、落ち着いて今週末に望む姿勢を明らかにした。

タイトルへの意欲と冷静な視点

「もちろんチャンピオンシップ優勝を狙っていきます。アレックスもスピードがあるでしょうが、ここでタイトルを狙っていきます。アレックスよりも3ポイント多く獲得している必要がありますが、容易ではないでしょう。ただし、難しい場合は次の機会を待つつもりです。タイトルの価値は大きいですが、2013年が自分にとっては最も価値あるタイトルだったと思います。ただ、今回のタイトルに関しては自分にとってキャリアの中で最も難しい挑戦を乗り越えてのタイトルになるでしょうから、今はこの瞬間を楽しみたいと思っています。」

苦難の5年間と得た教訓

「過去5年は本当に大変な時期でした。自分にとってもキャリアの中で2年から3年の時間を失った時期だったと思います。ほぼサーキットではなく家にいましたし。この時期の中で多くを学んだこともあります。サーキットを離れた人生のほうがプロレーサーとしてのキャリアよりも時間は長いわけですし、多くを学ぶことができたと思います。自分にとってはこれが2回目の人生のように感じています。今年は全てのサーキットで最高の形で結果を残すことが重要だと思っています。」

願掛けのだるまと日本GPへの特別な思い

「今回のスペシャルヘルメットは昨年すでに使っているものです。だるまが描かれていて、今回チャンピオンシップ優勝を果たすことができたらだるまのもう1つの目を塗りたいですね。今回は多くの人からチャンピオンシップについて聞かれますが、メンタルは同じです。何よりも最高の形でレースを終えたいと思っています。今週末にチャンピオンシップ優勝を決める必要はありません。まだチャンスはありますから。」

リスクと向き合う成熟したライダー像

「自分は常にアドレナリンを求めているライダーですが、リスクを最小にしたいと今は思っています。体を大事にすることが何よりも重要ですが、次に考えているのはリスクを最小にすることですね。」

記録よりもファンとの絆を重視

「引退した時にタイトルなどの記録は重要ですが、それよりも重要なのはファンが自分がトラックで常に100%を尽くしていたと思ってもらえることです。ライダーによってキャリアは異なりますが、記録は引き続き追っていきたいですね。」