昨日ホルへ・ロレンソはTwitter上にて、月曜日にマルケスから足の容態を気にかける電話があったこと、怪我をさせてしまった相手の事を気遣う「こうしたマルケスの行為は称賛に値する」とツイートしています。また、続けて「互いの意見が異なることはある。そしてそれを口に出したからといって、それ即ち敵ということではない」と、互いの認識は違えど敵という関係性ではないこと、互いに尊敬の念があるのだという事を明らかにしました。
過去にもマルケスとロレンソは色々ありましたし、今後もチームメイトになる前に何度もバトルがあるでしょう。また、チームメイトとなった後もこうした事件は発生するでしょう。しかし今のところファンが危惧するようにボックス内に壁が作られたり、握手もしない、目も合わせないというロッシとマルケスのような関係にはならないでしょう。
日本では馴染みが薄い考えですが、個人主義の海外では「Agree to disagree」(意見が合わないということで合意に達した)という考え方があります。これは互いの意見が異なる者同士が衝突せずにやっていくため、ある物事に関して「我々は意見が合わない」ということで一旦区切りをつけ、納得し、仲良くやっていくという考えです。「協調していることが第一」、「異なる意見は合意に達する必要がある」と考えがちな日本人には理解が少し難しいですが、今回のロレンソとマルケスも、「Agree to disagree」ということで一件落着となったのではないでしょうか。
実際に今回ホルヘが問題だとしていたのは、「マルケスは一緒に走る相手の事を気遣ったライディングをしない」という点です。今回マルケスはアラゴンGPの左コーナーのターン1にかなり深く突っ込み、本人談によると「フロントがブレーキングでロック、そのためブレーキをリリースして進入せざるを得なくなり、結果的にラインがワイドになった」ということで、一方のホルヘは「マルケスは自分がアウト側から進入してくるのが見えたにも関わらずワイドなラインでターン1に進入し、スペースが無くなったためにトラック外側の路面が汚れた部分を走行せざると得なくなった」と語っています。
ホルヘからすると「自分の走行ラインを妨害された」ということ、「結果的に怪我をさせられた」ことで怒っているわけですが、ホルへ自身も話しているように、「後ろから多くの選手が迫ってきていたために、路面が汚れているところで早めにスロットルを開けた」事が直接的な転倒の原因であり、そこにマルケスは関係していないため、「走行ラインを妨害するブロックパスであったし、結果的に怪我をさせられたが、転倒は自分のミスだ」とレース直後のインタビューで話しています。
一部のジャーナリスト、メディアは「ロレンソがまた転倒を誰かのせいにしている」「早くも2人の関係は悪くなっている」と報道していますが、本人のツイートを見る限りでは、そうとも言えない事が伺えます。
ロレンソの出場が危ぶまれるタイGPは来週末10/7に開催となりますが、それまでにバイクをライディング出来るまでに右足が回復するかどうかが問われます。ロレンソはDucatiでフットブレーキとサムブレーキを併用していますので、リアブレーキの操作という面では極端に問題になることは少ないと予想されますが、足、足の指というのは切り返しの際に大きな力がかかる部分ですから、バイクを望むように振り回せるかどうかというのは心配が残ります。一刻も早い回復を期待しましょう。
(Photo courtesy of michelin)