Ducatiのドヴィツィオーゾの優勝に湧いたカタールだったが、ホンダ、スズキ、KTM、アプリリアはDucatiが決勝レースで使用したGP19のスイングアームについていたスポイラー状のパーツはレギュレーション違反ではないか?と抗議を行った。(※テスト、FP走行、予選では異なるエアロダイナミクスフェアリングを使用しても問題ない)

レギュレーションではエアロボディー(アンダーカウルを含むフロントフェアリングとフロントフェンダー)から一部のパーツを取り外せる構造となっていてはいけない(※そのパーツが外れた際に危険なため)と規定されており、GP19のリアスイングアームに装着されているスポイラー状のパーツは着脱可能なため、レギュレーションに抵触しているのでは?というのが4メーカーの主張のようだが、FIM MotoGPスチュワードはこの訴えに対し、「現行のレギュレーションに即して判断し、FIM MotoGPスチュワードはこの訴えを棄却する」と回答。

この回答によってカタールGPにおけるドヴィツィオーゾの優勝、ダニロ・ペトルッチの6位は変わらないが、この件はMotoGP控訴裁判所に控訴されることが決定している。最終結果が出るには数週間の時間がかかる見通し。

あくまで推測の域を出ないが、4メーカーの訴えが棄却された背景には、Ducatiが使用したパーツがルール上規定されていないからではないかと推測される。現行のレギュレーションが規定しているのは、あくまでエアロボディーに関するものであり、フロントフォーク、スイングアームがエアロボディーとして規定されていない以上、Ducatiが使用したパーツはエアロボディーと規定されていない部分でのエアロダイナミクスパーツの着脱であり、ルール違反とは言えないということだろう。

ルールの穴を上手に突くDucatiらしいやり方ではあるが、パーツが外れた際に危険であるという意味では、これらのパーツも同様に危険であるため、今後規制される可能性は高い。

なお、スイングアームについているスポイラー状のパーツに関しては、当初リアタイヤを冷やす目的?と言われていたが、ダニロ・ペトルッチの話によるとそうではないらしく、フロントフォークに装着されているホイールカバーのようなパーツ同様に、バイクの整流効果、ダウンフォース発生を狙ったパーツではないかと言われている。

なお、メーカー側に手渡されているレギュレーションブックによると、スイングアームに装着される付加パーツに関しては、スイングアームと共に可動すること、タイヤの冷却、雨よけ、デブリからの保護に使用される必要があると規定されているようで、Ducatiのこのパーツがエアロダイナミクス効果を発生しているとすると、レギュレーションに抵触していることとなる。

Ducatiのパオロ・チャバッティは「Ducatiはこのパーツをタイヤの冷却に使用している」と回答しているが、ダニロ・ペトルッチがおそらくうっかりと「タイヤの冷却用ではない」と漏らしていること、ダニロ・ペトルッチよりも体重が軽いドヴィツィオーゾが、気温が低いナイトレースのカタールでこのパーツを使用していたことを考えると、タイヤの冷却用というDucatiの説明には無理がある。

しかし、Ducatiがこのパーツをエアロダイナミクス効果を発生させるために使用していると誰が立証出来るのか?という問題は残る。DucatiのGP19のスイングアームに装着されているこのパーツの是非を巡っては、しばらくいろいろな話題が出て来そうな気配だ。

(Source: Ducati)

(Photo courtesy of michelin)