ヤマハのサテライトチームからMotoGPに復帰、ロッシの最後のチームメイトになったアンドレア・ドヴィツィオーゾは、現在もRNFで苦戦を続けている。現在の状況はまるで数年前からのホンダのようだと語り、一人のライダーの特定のライディングスタイルでない限り、スピードを発揮するのは難しい状況だという。2023年についてはそもそも参戦を継続する意向はないようで、今年がMotoGPマシンで走るドヴィツィオーゾを見る最後の機会になりそうだ。[adchord]

ファビオのように乗らない限り戦闘力の発揮は難しい

アンドレア・ドヴィツィオーゾ

「毎戦非常に辛いレースです。後方からのスタートですし、練習走行でも苦戦が続いています。競争力がない状態でのレースというのは自分のキャリアではあまりなかったことで難しい状況が続いています。練習走行ごと、そしてレースごとにこういった状況が続いていくと、現実として自分に事実が降り掛かってきます。」

「2012年時点ではヤマハのバイクでも競争力を発揮出来ていましたが、MotoGPもバイクも変わってきました。ライバルも変わり、バイクの操り方も変わっています。多くの小さな理由が積み重なって今の状況があるんです。」

「今のヤマハは特殊な状況にあると思います。良い時はしっかりと曲がり、止まることが出来ます。しかしそれ以外では良い走りが出来ないんです。」

「ファビオのように乗らない限り、ヤマハで戦闘力を発揮することは難しいでしょう。ファビオが勝利を続けているのでこうした方向性になっていくのは仕方ありませんが、ここ数年のように他のライダーから苦情が出ているわけで、過去のようにバイク自体の戦闘力を高める必要があるんです。」

「例えばフランキーは自分よりリーンアングルが深く、バイクが寝ている時間が長いですし、ブレーキングも深くありません。しかし結果は自分と同様に苦戦しています。」

「他のライダーも異なるライディングで苦戦しているということは、このバイクはある一定のライディングをしないと、スピードを発揮するのが難しい可能性があるということです。」

今はヤマハがホンダのようなバイクになっている

「ここ数年で日本製のバイクは苦戦をしています。ヤマハはもちろんホンダもそうです。通常タイトルを獲得するライダーが乗っているバイクは日本製バイクですが、これは特定のライダーとバイクの組み合わせであることが多いです。」

「そして同じバイクでランキング上、次に誰が上位にいるかというと、タイトルを獲得したライダーからは大きく離されていることが多いわけです。」

「個人的な意見ではありますが、こうした事実が意味するのは、そのバイクは扱いづらいバイクであるということです。ここ数年はホンダがその代表的な例でしたが、今はヤマハがこうしたバイクになっているんです。皆が戦闘力を発揮しているのは例えばアプリリアでしょうね。」

「10年前のMotoGPは常に同じライダーがトップを走っていました。バイクが変わろうともその状況が続いていました。現在のMotoGPはメカニカルな部分が過去よりも重要性が増していると思います。皆が戦闘力を発揮して、小さな違いが大きな差を生み出すことになるんです。」[adchord]

競争力を発揮出来ないのなら走り続ける意味はない

「前々から競争力を発揮出来ないのであれば参戦を継続するつもりはないと言ってきました。20年間走ってきてこういった状態で続ける気はおきませんからね。そうした理由もあって来年はシートを探そうと思っていません。」

「すでにレースを辞めてどう感じるかはわかっていますからリラックスしています。しかし、もちろんこんな結果でシーズンを終えたいとは思っていません。」

「競争力を発揮して良い位置で走るのは最高の気分です。しかし、誰もがすべてを自分の望む形でコントロール出来るわけではありませんからね。」

(Photo courtesy of RNF)