マーべリック・ビニャーレスは土曜日のスプリントレースに続いて決勝レースでも優勝した。この優勝で、スズキ、ヤマハに続いて、アプリリアでも優勝を達成したことになる。これはMotoGPが500ccに変わってスタートして以来、そう多くないライダーが挑戦しながら達成出来なかった偉業となる。今は優勝したという事実よりも、素晴らしいフィーリングを維持していることが嬉しいと語り、この勢いをヨーロッパ開催でのレースに持っていきたい考えだ。

本当に多くの時間をかけてきた

マーべリック・ビニャーレス(決勝レース:優勝)

「本当に嬉しいです。これほどまでに嬉しいことはそうあるものではありません。この優勝を達成するまでに本当に多くの時間をかけてきました。昨年からバイクのバランスを大きく変更してきましたが、今までのスピードを取り戻すことが出来ました。」

「今朝もクラッチの問題がありレース中もクラッチの問題を感じていました。スタートでは接触後に外側に押し出される展開でしたが、十分なリズムがあると感じていたので、数周走行したあとにはフロントグループに追いつくことが出来ました。」

「優勝をした後はすぐにガレージに戻って、皆とこの喜びをシェアしたかったですし、これから自宅で早く家族と喜びを分かち合いたいですね。もちろん明日も引き続きトレーニングを続ける必要がありますから、リラックスはしていられません。ヘレスでも同様に素晴らしいフィーリングを感じたいですね。」

自信を取り戻すのには1年かかった

「ここまでの自信を得るには1年かかりました。新しいクルーチーフがバイクを理解するのにも時間がかかりましたが、これが重要なことでした。カタールからは常にフロントで走行が出来てきました。新しいバイク自体を理解することも重要でしたが、ポルトガルでは素晴らしい走行が出来ていました。自分自身のライディングが出来ていると本当に落ち着いてライディング出来ますし、自身が溢れてきます。プッシュ出来るようなバランスを維持することが重要ですね。」

以前は接近戦が苦手だった

「確かに以前は今日のようにオーバーテイクしていくような武器を持っていませんでした。過去の自分は接近戦が苦手でした。しかし今はブレーキングで勝負が出来ます。もちろん簡単ではありませんが、戦える武器があると感じています。」

「常にフロントでレースが出来るわけではありませんから、こうした武器が必要ですが、ライバル達は皆ブレーキングが強力です。でも、そうした状況でもしっかりと戦えているんです。それにアプリリアと共に今週末はどこでブレーキングでオーバーテイクが出来るか等もしっかりと話し合って挑んできたんです。」

「アプリリアの強みはおそらくスタビリティーでしょう。改善が必要な点としてヘアピンにおけるブレーキングでしょうね。ただ、こうしたコーナーを持つサーキットはそこまで多くありません。COTAのセクター1のようなコーナーが連続するエリアで強みがありますが、さらに他のエリアも改善できると感じています。」

「今日の全てのオーバーテイクを覚えているわけではありません。それだけ集中していたということです。オーバーテイクが一番難しかったのはミラーかもしれませんね。ミラーのブレーキングは本当に深かったですし、バイクを止めるのが難しく感じました。」

優勝は嬉しいが、それよりも自信を感じられていることが嬉しい

「アプリリアでの優勝は異なる価値を持っていますし、このメーカーと共にいかに成長出来たかを考えると素晴らしいですね。自分が契約した時、アプリリアの走行している位置は10位から15位といった状況でした。まだ改善をしていく必要がありますが、今年は多くのポテンシャルがあると感じています。スマートに集中していきたいと思います。」

「ポルトガルのような出来事がないようにしないといけませんし、フロントで走行することでしっかりと自信を重ねていきたいと思います。自分達よりも大きなメーカーが優勝してきていますが、今の自分達を誇りに思いますし、成し遂げたことが嬉しいです。しかし、これから優勝を重ねていくことはより難しく感じるでしょうね。」

「明日になればこの優勝の価値をさらに認識して、自分にとって最も価値のある優勝と感じるかもしれません。いかにここまでのレベルに到達したかもそうですし、今日のレースの内容に関してもそうです。しかしこの優勝だけではなく、この週末の成果をボックスとも共有したいですし、共に戦ってきた家族にも捧げます。」

「今は正直なところ優勝という結果よりも、これだけの自信を感じることが出来ているのが嬉しいですね。もちろん歴史的に考えると非常に重要な優勝であることは間違いありませんが、現時点ではそこまで優勝という結果に注意を払っていません。」

プッシュすべき箇所でのみプッシュしてタイヤを温存した

「タイヤの温存に関してはプッシュすべきコーナーのみでプッシュをしたんです。スプリント中にソフトタイヤで決勝レースを走ることを考えて、異なる走行ラインを試していましたが、その中でソフトは非常に熱を持ちやすいことに着目していました。」

「その中でタイヤにあまり熱を持たせないようなラインを見つけて、ターン10などでは、出口ではなく、コーナー入り口でしっかりとプッシュするようにしてしていました。3つの右コーナーの連続ではフロントを多用して、リアのオーバーヒートを防ぎながら走行していました。」

「チームと一緒にどのコーナーでプッシュすべきかをしっかりと考えていましたし、トップポジションでレースをする戦略、そうでない場合も考えてレースをしていました。こうしたこともあって、タイヤの温度を最適な状態に保っていることが出来ました。レース全体で考えると、リアよりもフロントのほうが温度が高かったと思いますね。」

「昨日はレースをトップで走行して、フロントタイヤの理想的な温度、空気圧を保つことが出来ました。ただ、そうでない状況であってもコントロールは可能です。スリップストリームに入らないこと、ブレーキングで異なるラインを選択することなどでタイヤの温度と空気圧の管理は可能です。それにこうした戦略はレースまでに考える時間も多くありますから。」

(Photo courtesy of michelin)