2025年シーズン前半を悪夢のように過ごしたホルヘ・マルティン(アプリリア・レーシング)が、ハンガリーGPで王者の走りを見せつけた。グリッド16番手からのスタートにもかかわらず、マルティンは見事4位でフィニッシュし、自身最高の今季リザルトを手にした。ライバルたちと比べ、走行距離に圧倒的な差がある中でのこのリザルトは、まさに王者の意地だったと言える。

16番手スタートからの躍進、明確な戦略で臨んだ決勝

16番手スタートという厳しい状況にもかかわらず、ホルヘ・マルティンは明確な戦略を持って決勝に臨んだ。スタート直後のコーナーで果敢にオーバーテイクを仕掛け、序盤の数周で次々と順位を上げた。マシンのブレーキングに対する不慣れさもありつつも、後半には安定したペースを刻み、自信とともにフィーリングの向上も実感。結果は4位。だが、それ以上に彼自身が「戻ってきた」と感じるレースだった。アプリリアと共に勝つという新たなモチベーションを胸に、再びタイトル争いの中心に向かって突き進む。

スタート直後の戦略とオーバーテイクの詳細

「正直、決勝レースでは何が起こるか分かりませんでした。16番手スタートは厳しかったですが、最初の2コーナーの戦略ははっきりしていました。外側から行こうと決めていたんです。ただ、外に行きすぎて縁石でブレーキをかけることになりましたが、それでも2〜3台抜けました。次のコーナーでもさらに2台ほど抜きました。」

前半での連続オーバーテイクと後半のペースアップ

「5コーナーで2台、9コーナーでさらに1台。最初の3周でずっとオーバーテイクしていました。後半は本当に良いペースを刻めるようになって、自信もどんどん増していきました。ただ、ブレーキング時のマシンの反応にはまだ慣れていません。5コーナーでは何度かコース外に出そうになって、そこで1秒ずつロスしたと思います。」

学習過程の中で得た自信と成果

「まだ学習途中ですが、それでも今日は100%を出しました。4位という結果はチームにとっても大きな意味があります。モチベーションを保ち、信じ続けるために。そして自分自身にとっても、フィーリングの向上やベースセットアップの改善という成果がありました。次のレースに向けて、より準備ができたと感じています。」

復調を感じた26周とマシンへの手応え

「今日は個人的に、戻ってきたと感じました。26周を通して力強いペースを刻めたし、簡単ではないトリッキーなコースでしたが、それでもやれました。まだマシンには慣れていない部分がありますが、昨年の自分と変わっていません。マシンの戦闘力は昨年より上がっているので、全てが噛み合えば、勝てると思います。」

アプリリアと共に勝利を目指す新たな挑戦

「昨年はタイトルへの執念がモチベーションでしたが、今はアプリリアを勝たせるというチャレンジが、自分の歴史の中でも最高のモチベーションになっています。アプリリアと一緒に勝つ日が来たら、それは本当に素晴らしい日になると思います。必ず辿り着けると信じています。」