ライダーが患う職業病「腕上がり」とは?

ライダーが患う職業病「腕上がり」とは?

日本語では「腕上がり」、英語ではアームパンプ「arm pump」と呼ばれるライダーが患う職業病について、実際にどのような症状なのか解説する。近年ではダニ・ペドロサが引退の危機に一時追い込まれたものでもあり、ファビオ・クアルタラロもイタリアGPの翌日に手術を行っている。

正式名称は慢性労作性コンパートメント症候群

この症状の実際の名前としては「慢性労作性コンパートメント症候群」というもので、英語ではchronic exertional compartment syndrome(CECS)と表される。コンパートメント(compartment)とは区画という意味で、これは筋肉の構造を考えると理解しやすいだろう。

筋区画の内圧上昇が問題

筋肉の筋繊維の束は、強く薄く、伸縮性がない「筋膜」に包まれている。激しい運動、高い負荷が繰り返しかかる運動を繰り返していると、筋繊維に流れる血流が増加、筋肉は20%ほど膨張する。しかし、筋膜自体に伸縮性がほとんどないため、筋肉の膨張は筋膜に覆われた筋区画の内圧上昇を引き起こし、これが問題となるわけだ。

筋区画の内圧が上昇すると、筋肉は大きな力を出すこと難しくなり、その部分の筋肉には力が入らず、痺れ、感覚の低下などの症状が発生する。そのため、ライダーが腕上がりを患うと、バイクをコントロールする手に力が入らなくなる、ブレーキレバーを上手に扱えないなどの重大な問題に繋がる。

腕上がりの解消には手術が有効

腕上がりは運動開始から数分で症状が発生し、運動終了から20分程度で消えるとされるが、診断はMRI、針に圧力計がついた医療機器で筋区画の圧力を計測するなどして行う。

腕上がりの確実な治療法として知られるのは筋膜の切開で、麻酔をかけたのち、問題となっている筋区画を覆っている筋膜自体にスリット状の切れ目を入れ、高くなっている内圧を開放する。一般的には術後数週間は筋肉を休めることが推奨されている。

(Photo courtesy of michelin)