ミシュランの3連戦の中間となる戦いの舞台は、オーストラリアのフィリップアイランドです。なお、今回はレースウィークの合間にタイヤテストが行われるというユニークな週末となります。

フィリップアイランドは4,448mのトラックで、バス海峡を望む場所に位置しています。この海峡はタスマニア島とヴィクトリア州の間にまたがっており、フィリップアイランドはMotoGPカレンダーの中で最も要求が多いサーキットの1つと言えるでしょう。

反時計周りのレイアウトのサーキットは左コーナーが7、右コーナーが5となり、タイヤへの要求が非常に大きいことで知られ、荒い路面と合わさって高いタイヤ温度のコントロールが必要となります。

この時期の走行前には短いウォームアップ走行が必須で、冷たい気温によってタイヤの再度部分の温度が急激に奪われることがあります。これらを踏まえて、MICHELIN Power Slick タイヤはこのトラック専用にデザインされた特別なコンパウンドが用意されます。このタイヤは通称”フィリップアイランドタイヤ”と呼ばれ、ライダー、バイクの要求に応えつつ、ライダー達は自信を持って限界までプッシュすることが可能です。

コンパウドは前後共にソフト、ミディアム、ハードとなり、前後タイヤが左右非対称コンパウンドとなります。なお、前後タイヤが非対称コンパウンドとなるのはシーズンのうち3回のみです。その他の2回はザクセンリンクとバレンシアです。フィリップアイランドではタイヤ左側がハードコンパウンドとなり、このトラックで必要となる極限の性能をタイヤエッジに与えています。

海の近く、そして初春のオーストラリアということで、フィリップアイランドでは風が強く、雨の可能性があります。こうしたコンディションに備えてMICHELIN Power Rainタイヤが用意されます。アロケーションはスリック同様にこのトラックの要求に答える形で、ソフト、ミディアムの左右対称コンパウンドがフロントに、ソフト、ミディアムの左右非対称コンパウンドがリアに採用されます。なお、MICHELIN Power Rainタイヤもタイヤ左側が硬めのコンパウンドとなっています。

フィリップアイランドでは、ミシュランのタイヤテストが史上初めてレースウィーク中に開催されます。テストが行われるのは新型のリアタイヤで、これはバルセロナ、ブルノ、ミサノで既にテストが行われ、今回のテストでミシュランは最新の開発内容の確認をすることとなります。新しいタイヤは進化した構造と、リアタイヤへの要求が厳しいサーキットに向けてパフォーマンスが向上しています。

各ライダーはソフト、もしくはミディアムのタイヤを1本使用して、20分のセッションを行います。このセッションは天候が許せば現地時間金曜15:55に予定されています。このセッションで記録されたタイムは予選には影響を与えず、このタイヤはこのセッションでのみ使用が可能となり、他の練習走行、予選、ウォームアップ、レースでの使用は不可能です。

新型タイヤは2020年シーズンを見据えたもので、フィリップアイランドでのテスト結果を踏まえ、クレルモン・フェランにおいて来年のラインナップに加えられるかが決定されます。テストで使用されるこのタイヤはフィリップアイランドの要求に沿った左右非対称デザインで、レースで使用されるタイヤと同様にタイヤ左側が硬めのコンパウンドとなり、タイヤに掛かる強大なストレスに対抗するデザインとなっています。

全てのライダーは最低11周を周回することが求められており、フロントにはMICHELIN Power Slickタイヤを使用します。しかしこのタイヤテストで使用出来るフロントタイヤは通常のアロケーションとは別に供給されるものとなります。

このテストは当初ドルナとIRTAからアラゴンのレースウィークの合間に行うようにライダー側に提案されたものですが、ライダー全員が参加したライダーズコミッションによる投票で、ライダーの過半数が2020年の新型タイヤテストを希望しました。

ミシュランとMotoGPライダー達は今週末25日の金曜日から練習走行を開始、そして金曜にこのタイヤテストも行われます。土曜日には再び練習走行が行われ、その後、日曜日の27周の決勝レースのスターティンググリッドを決定する予選が行われます。MotoGP第17戦の決勝レースは、日曜日の現地時間15時から開始されます。

2輪モータースポーツグループ・マネージャー:ピエロ・タラマッソ

「3年間ミシュランの名前を冠して開催されたオーストラリアGPが、ミシュランの名前の元に開催されないのは少し不思議な気持ちがします。しかしミシュランが今週末のレースに全力で挑むということに変わりはありません。このトラックが要求するグリップ、耐久性、コンスタントさ、そしてパフォーマンスを考えると、このレースでも我々のタイヤの真価が問われるということは同じです。このトラックは実にユニークなトラックですから、ここには専用のコンパウンドのタイヤを投入します。これは先に述べた理由に加えて、フィリップアイランドの天候を考慮に入れると当然でしょう。この困難な状況にしっかりと立ち向かい、望んだ結果を出したいと思います。」

「また同時に、2020年のタイヤテストに関しての責任もあります。今のところ2020年用タイヤに関しては素晴らしいフィードバックを得ていますが、タイヤの熱的に非常に厳しいトラック、ザクセンリンク、テルマス・デ・リオ・オンド、そしてフィリップアイランドのような場所でのテストが必要なんです。今までのトラックでは完全なテストが出来ていませんので、今回週末の中で時間を使ってテストを行うということなんです。このテストに参加してくれるライダー達に感謝を述べたいと思いますし、ドルナ、IRTAに関してもこのテスト実現に協力してくれたことに感謝しています。来シーズンMotoGPで使用するMICHELIN Power Slickの評価テストですから、実に重要なテストなんですよ。」

(Source: michelin)

(Photo courtesy of michelin)