2輪、4輪に限らず、使用済みタイヤのリサイクルは業界全体の大きな課題だ。この課題に対して、ミシュランはスウェーデンのエンバイロ社と共に、使用済みタイヤのリサイクルの事業化を目指し提携を進めている。
ミシュランによると毎年、約10億本ものタイヤが廃棄物として発生しているが、ミシュランとエンバイロ社が開発を進めている熱分解テクノロジーによって、使用済みタイヤが原材料に生まれ変わることになる。
ミシュラン サービス&ソリューション ハイテクマテリアルビジネス部門 ディレクター Sonia Artinian-Fredou
「エンバイロとの提携は、ミシュランの“すべてを持続可能に”というビジョンに沿っています。2017年のリーハイテクノロジー社(ハイテクを活用して使用済みタイヤから微粉化粉末を抽出する専門事業者)の買収に続き、今回の提携も、ミシュランがリサイクルと持続可能なモビリティに⻑期的にコミットしていることの確かな証しです」
〜 以下プレスリリース 〜
ミシュラン(日本法人:日本ミシュランタイヤ株式会社、本社:東京都新宿区、代表取締役社⻑:ポール・ペリニオ、以下「ミシュラン」)は、使用済みタイヤをリサイクルする熱分解テクノロジー※の大規模な開発・事業化を目指してEnviro社(本社:スウェーデン、以下「エンバイロ」)との提携を進めています。
タイヤ産業とその顧客にとって、リサイクルは大きな課題です。毎年、約10億本ものタイヤがその役割を終えています。今回開発するリサイクルテクノロジーにより、使用済みタイヤが良質の原材料に生まれ変わります。
2001年設立の社員20名から成るスウェーデンの新興企業エンバイロは、熱分解プロセスにおいてエネルギー消費を最小限に抑えながら、素材の化学的組成及び物理的状態を変化させるテクノロジーを開発しました。
この最先端の革新的なテクノロジーを利用して、再生カーボンブラック、熱分解油、鋼鉄など他の産業分野の生産工程で再利用することができる生成物を生産することができます。このリサイクルテクノロジーにより、現在は廃棄物として処分されているタイヤも原材料としてリサイクルできるようになります。
ミシュランとエンバイロの提携は以下のように進められます。
・エンバイロの熱分解テクノロジーを大規模に展開するための開発契約の締結
・エンバイロ株式の20%、すなわち116,165,223株を取得するため、ミシュランは総額32,526,262 クローネ
(約3百万ユーロ)を出資し、筆頭株主になります。ミシュランはエンバイロを支援するため、同社の取締役になる人員を派遣する予定で、株主総会に提案します。4月15日に株式引受手続きに署名をしています。
・当テクノロジーの事業化を進めるための工場建設共同プロジェクトを発足させます。工場の立地は検討中です。
・ミシュランとエンバイロ間の相互供与契約の締結
この提携により両社は相互に補完し合うノウハウを持ち寄り、タイヤのリサイクルを加速させます。ミシュランは自社の事業ノウハウを工場建設プロジェクトや研究開発・製造に活かし、エンバイロは特許権を取得している熱分解テクノロジーを提供することで、高品質の製品を生み出していきます。
2020年の半ばまでの最終的な合意に向けて両社の話し合いが進んでいます。
※このテクノロジーでは有機化合物を急激に加熱することにより化学的に分解する手法が採られています。この手法により、対象の有機化合物にはもともと含まれていない新たな生成物を抽出することが可能になります。
(Photo courtesy of michelin)