今回はまさに”九死に一生を得た”と言っても過言ではない状況のバレンティーノ・ロッシ。あと少しだけタイミングがずれていたら、フランコ・モルビデッリ、ヨハン・ザルコのバイクが直撃していても不思議ではなった。レッドブル・リンクが危険なトラックであることは変わらないとしつつ、その中でライバルを尊敬して走行することが何よりも大事と語る
バレンティーノ・ロッシ

レースが終わった今でも恐ろしい

バレンティーノ・ロッシ

本当に怖かったですね。マーべリック・ビニャーレスも自分も無事で良かったです。無事であったことを誰かに祈る必要があるでしょうね。今日の出来事は本当に危なかったと思います。リスタートは本当に難しかったですね。でも他に選択肢はありません。皆にチャオと言って帰るわけにはいきません。ですからリスタートしたんです。」

「リスタート前にあの危険性について考えないようにしようと思っても難しいものですし、レースが終わった今でも恐ろしいです。彼女と話しましたけど、彼女も参ってしまっていました。まだ母と父と話はしていません。これから彼らと電話としたいと思います。」
バレンティーノ・ロッシ/中上 貴晶

ザルコはフランコの目の前でブレーキをかけた

「ザルコはフランコをストレートで抜いてその後抜き返されたくなかったんでしょう。ですから彼はフランコの目の前でブレーキをかけたんです。レースディレクションはザルコをどうにかすべきです。ブルノでもポル・エスパルガロを避けられたのに避けませんでしたからね。」

今やMotoGPも小排気量クラスも皆がアグレッシブに走行しています。理解は出来ますが、あまりにもリスクを冒しすぎるのはどうかと思いますね。このスポーツは本当に危険なスポーツですから、他のライダーのことを尊敬擦る必要があります。特にロングストレートがあって300km/hも出るようなサーキットでは、より意識すべきです。」

「小排気量クラスでも多くのライダーがブロックパスをしながらブレーキングをすることがあります。これをイタリア語では”frenare in faccia”(顔の前でのブレーキ)と言いますが、ザルコもワイドなラインでフランコの前に出て目の前でブレーキをしました。」

「しかしフランコは接近していましたし、300km/hで走行しているとスリップストリームも強烈に働きます。フランコはブレーキをかける暇もなく衝突したんでしょう。あの事故で自分もマーべリックは本当に危ないところでした。
バレンティーノ・ロッシ
「ザルコと話して意図的ではなかったと聞きました。アグレッシブなことは悪くありません。でも300km/hで走行しながら誰かの目の前でブレーキングをすることは大惨事を呼ぶ可能性がある判断です。

「レッドブルリンクは危険な箇所が多いトラックです。特に300km/hから50km/hまで減速するようなコーナー、ヘアピンに関しても危険があります。危険なトラックではありますが、他のライダーのことを考えながらライディング出来るかどうかが重要です。これを数名のライダーだけではなく全員が考えて走る必要があるんです。」

近づいてきたのはヘリの影だと思った

ターン3にマーべリックに続いて進入した時に何かが近づいてくるのがわかりましたが、ヘリの影だと思っていました。しかし目の前をフランコのバイクが横切り、ビニャーレスの頭の上をザルコのバイクが通過していきました。自分達は本当に本当に幸運でした。」

「フランコとも話をしましたが、彼もこのことを考えすぎないようにしています。考え出すとあまりにも怖くなるからです。今回が良かったのは誰も深刻な怪我をしていないことです。これが今回何より重要なことです。」

(Source: yamaha-racing)

(Photo courtesy of michelin)