ライダーズポイントへの変更はなし

MotoGPスチュワードパネルは、ヤマハがMSMA(モーターサイクルスポーツ製造者協会)の全会一致の承認を得る必要があったにも関わらず、その手続きを取らずにエンジンのバルブを勝手に変更していたとして、チャンピオンシップにおけるコンストラクターズポイントにおいて、50ポイントを剥奪することを決定した。

さらにモンスターエナジー・ヤマハMotoGP、ペトロナス・ヤマハ・SRTの2チームについても、それぞれ20ポイントと37ポイントが剥奪される。なお、ヤマハライダー達のチャンピオンシップ争いにおけるライダーズポイントについては影響はない。

カタールGPからスペインGPの間にエンジンに変更を加えていた

今回ヤマハに対して与えられたペナルティーの原因は、ヤマハが当初の開幕戦であったカタールGPの時点で認証を得たエンジン以降に製造されたエンジンにおいて、認証を受けたエンジンとは異なるバルブを使用していたことにある。

MotoGPのレギュレーションに従い、各メーカーはシーズンで使用するエンジンの設計図、サンプルエンジンをMotoGPテクニカルディレクターであるダニー・アルドリッジに該当シーズンの開幕戦までに提出が必要だが、ヤマハは当初の開幕戦であったカタールGP以降に製造したエンジンについて、カタールGP時点で認証を受けたものとは異なるバルブを使用していたわけだ。

その後ヤマハはMotoGPテクニカルディレクターのダニー・アルドリッジにエンジンバルブの変更を申請、MSMA(モーターサイクルスポーツ製造者協会)がバルブ変更に関するさらなる詳細資料を求めたところ、ヤマハは申請を取り下げていた。

ヤマハの申請取り下げの理由は定かではないが、カタールGP時点で認証を得ていたエンジンから、申請取り下げの時点でバルブに変更が加えられていることを隠蔽しようとしたと勘ぐられても仕方ないだろう。

2020年にヤマハライダーがタイトルを獲得した場合、そのタイトルは妥当なのか?

ヘレスの後からヤマハは基数が少なくなったエンジンの消耗を抑えるために、レブリミットを500回転下げている。さらにエンジンのバルブについても、カタールGP時点で本来認証を受けていたバルブに変更していると予想される。

ヤマハライダー達がエンジンの仕様についてどの程度把握していたのかは定かではないが、仮に今年ヤマハのファビオ・クアルタラロ、もしくはマーべリック・ビニャーレス、フランコ・モルビデッリがチャンピオンシップ優勝をしたとしても、ライダー達は手放しで喜べないだろう。

メーカーがエンジンという主要パーツに関して重大なレギュレーション違反を犯した年にタイトルを獲得したとして、果たしてそのタイトルが価値あるものと言えるかは大いに疑問だ。

(Source: yamaha-racing)

(Photo courtesy of michelin)