2025年体制への満足と現状の課題認識
Ducatiのテクニカルディレクターであるジジ・ダッリーニャは、2025年のチーム体制に満足感を示しつつも、現状の課題と今後の展望について率直な思いを明かした。マルク・マルケスの獲得タイトルを「人生の教訓」と称え、彼が金や名誉を捨てて再起を図った姿勢に深く感銘を受けたと語った。一方で、フランチェスコ・バニャイアの不調にはガレージ全体で解決出来ておらず、チーム全体としても試練の時を迎えている。2025年シーズンにおいてはデスモセディチの進化をあえて選ばなかった決断の中で、Ducatiが2026年に向けてどのようなバイクを準備しているのか楽しみだ。

マルク・マルケスへの称賛と評価
「今年のラインナップでライダーは以前と変化していますが、2025年の内容には満足しています。今年のマルク・マルケスのタイトル獲得は人生における教訓ともなりました。彼は多くのことを断ってDucatiに移籍しました。金、ファクトリーチームライダーとしての立場、見栄、そしてものをすべて手放して再び返り咲くためにDucatiを選んだのです。」
チーム内でのマルケスの存在感
「マルク・マルケスというライダーは非常に働きやすいライダーです。技術的な指摘は常に正しく、理解しやすい内容です。チームのフィーリングも素晴らしいですし、彼はチームリーダーとしてふさわしい存在ですね。」
怪我による離脱と開発への影響
「マルクのマルコ・ベッツェッキとの接触による怪我は残念でした。マルクのせいで発生した転倒ではありませんでしたから。マルクは休養という道を選んでいますが、これは当然の結果でしょう。本来的には最終戦付近で新しいパーツを試したいと思っていたんですが、現在はそれが出来ません。マルクの怪我の回復が最優先です。」
バニャイアの不調とチームの対応
「フランチェスコ・バニャイアの不調はまだ理解出来ていませんし、ペッコ自身も理由がわかっていません。お互いの関係性は素晴らしいものですし、2年連続でタイトルを獲得してもいます。私自身がライダーズチャンピオンシップで優勝したライダーはペッコが初めてです。ですから、もちろん自分にできるなら彼を助けてやりたいと思っています。」
チーム内競争とプレッシャー
「マルクというライダーがチームメイトであるということは大きなプレッシャーでしょう。マルクの成績は常に素晴らしいわけですから。我々は結果を出すためにここで戦っているわけですから、結果が出ないということは彼にとってもチームにとっても問題となりますし、私にとっても問題となります。できることは解決のために懸命に仕事をすることになります。」
技術開発方針の継続と制限
「今年のはじめに技術的な部分において2024年から大きな冒険はしないと決めていますので、本来的には2025年型と2024年型は極めて似たバイクなんです。2025年型はもちろん多少異なっていますが、2024年型に戻そうと思えばすぐにできる程度の違いです。」
技術者としてのジレンマと現実的選択
「2025年型は進化という意味では進化していませんから、エンジニアとしては満足していません。ただ、今シーズンの序盤で大きな冒険をしないと選択した結果なので仕方はないと思っています。」
ライバルの進化とDucatiの展望
「ライバル達が大きく進化しておりレベルが高まっています。しかしMotoGPにおいて競い合うというのはそういうことですし、我々も引き続き開発を続けていくしかありません。現状のMotoGPのレベルは高くライダー達も素晴らしいライダー揃いです。ただ、Ducatiは現状のライダーラインナップに満足していますよ。」
中の人は元スズキ(株)気になるバイクニュースを2014年から運営しています。愛車遍歴はGSX-R1000K5、DucatiモンスターS2R、Ducati 916、XR230F、GSX-R600 K7、最近はまた乾式クラッチのDucatiに乗りたいと思っています。