Ducatiはヘレステストにおいて、リアキャリパーをフローティングマウントと思われるマウントとするためのトルクロッド、シートカウルのウイングなど新しいパーツをテストしていました。この中でペトルッチ、ミラーはトルクロッド装着の車両で好タイムを記録。ドヴィツィオーゾはあまり差を感じなかったと語っているようです。

現在わかっている範囲で、このトルクロッドが装着されると何がどうなるのか?そしてDucatiがこのトルクロッドをテストに投入した背景を探ってみましょう。

そもそも、このトルクロッドを装着するメリットを簡潔に説明すると、ブレーキング時のリアグリップの向上、ブレーキング時のリアのホッピング発生の抑止だと言われています。それでは、なぜDucatiはブレーキング時のリアグリップを高めたいと思っているのでしょうか?

これはBSタイヤ時代はそのグリップはフロント>リアという構図であったために、減速のほとんどはフロントが担っていたものが、近年タイヤサプライヤーがミシュランに変わり、そのグリップはフロント<リアという構図であるため、各メーカーともに、その車体のセットアップは減速時にそのグリップをどうやって有効活用するかという方向に変わってきたためと言われています。
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現在はミシュランタイヤの強力なリアグリップを加速・減速時に活用したほうがタイムアップに繋がりやすく、「立ち上がり加速を向上させる」「リアのグリップを最後まで温存する」といったキーワードが、各メーカーのクルーチーフ、各選手から頻繁に出てくるわけです。

そして、ミシュランタイヤの優れたリアグリップを減速時にもっと効率的に活かしたい=リアタイヤのブレーキング時のグリップを高めたい=トルクロッドの採用という考えにDucatiが至ったとしても、何ら不思議ではないわけです。

取り付け部分を詳しく見ていくと、通常はフレームにマウントされているトルクロッドが、Ducatiのものはリアサスペンションにマウントされており、フルアジャスタブルとなっている点が既存のトルクロッドとは異なっています。タイム的には良い結果が出ていますが、明らかに荒削りなデザインであること、細部の煮詰めが必要であることを考えると、2019年シーズンに使用されるかどうかはなんとも言えないでしょう。

(Photo courtesy of Ducati)