Ducati、ホンダに続いてKTMがカーボンスイングアームを投入し、ポル・エスパルガロはこれを使用して好感触を得、成績も実際に上向いています。このカーボンスイングアームについて、アルミニウム製のスイングアームよりも優れている点がいくつかあるとされます。

同じ形状なら他の部材より重量を軽く出来る

素材の特性としてカーボンはアルミの約半分ほどの比重で、さらにアルミやチタンと比較しても強靭さ、反発力に優れた素材です。レースにおいて軽量化は至上命題ですが、アルミに比べて比重が格段に小さいカーボンを使用することで、大きなパーツであればあるほど、軽量化が期待出来ます。

そういった意味ではカウル、そして大きな部品であるスイングアームをカーボン製にするのは実に理に叶った行為です。なお、チタンに関してはレギュレーション上でバイクのどの部分にチタンを使用出来るかという制限が存在するため、今後もチタン製のフレームやスイングアームが登場することはまずないでしょう。

強度を自由に設定出来る

カーボンスイングアームの場合、正式な素材名称であるカーボン繊維強化プラスチック(CFRP)- Carbon fiber reinforced polymer – が示すように、カーボン繊維にプラスチックを染み込ませて強化したもので、カーボン遷移を層にすることで厚みを出していきます。

そのため、理論上はどの方向に繊維を重ねていくか、どの角度で重ねていくかということで3次元で強度コントロールが出来るとされます。そしてこれこそが様々なトラック、コンディションに合わせてスイングアームの強度・しなりを自在に変更することが出来るという最大のメリットとなるのです。

最初にスイングアームを形づくるための型を作成すること自体は非常に高価(金型を作るのも高価であるのと同様)ではありますが、一度型が完成した後は、フィードバックを元にどの方向に強度を持たせるか?というチューニングを施したスイングアームを作成することが比較的簡単に出来ると言われています。

今後もKTMの成績が上向いていくのか、ヤマハやスズキもこれに追随するのか?あまり目立たぬスイングアームですが注目したいところです。

(Source: KTM)

(Photo courtesy of michelin)