レースがない時期になると様々な噂レベルの話、ゴシップが駆け巡るが、取るに足らないくだらないものから、実際に起こり得そうな話までが出てくる。WSBKではマルコ・メランドリが引退を発表したが、これに合わせてホルへ・ロレンソが引退するのではないか?というゴシップが出ている。

2020年の契約を結んだ選手


現実に2020年にMotoGPクラスで新たに契約を結んだ選手としては、Ducatiファクトリーのダニロ・ペトルッチが上げられる。彼はムジェロでの優勝以降、カタルーニャ、アッセンでもドヴィツィオーゾを上回るポイントを獲得。Ducatiファクトリーを狙っていたジャック・ミラーを圧倒的に上回るパフォーマンスを発揮してファクトリーシートを射止めた。市販車ベースのレースカテゴリーからステップアップしてきた選手であるダニロ・ペトルッチにとっては、まさにシンデレラストーリーと言える。

ムジェロで優勝した後はドヴィツィオーゾを助けると捉えられる発言をしているが、生き馬の目を抜く世界のMotoGPにおいては、チームメイトは最大のライバルというのが常識。ドヴィツィオーゾに気を使ったりおもねるのではなく、自分こそがDucatiを牽引するというくらいの走りを期待したい。

ダニロ・ペトルッチ以外に2020年の契約を結んだ選手としては、Red Bull KTM Tech3に加入することが決まったブラッド・ビンダーがいる。23歳の南アフリカ人ライダーであるブラッド・ビンダーは、KTMが作り上げたMoto3〜MotoGPへの階段を順当に登ってきた選手。アグレッシブなブレーキングなど勢いある走りが特徴のビンダーは、ハードに攻め立てて走ることが必要なRC16にライディングスタイルが合っているとされている。(※後にファクトリーに昇格が決定)

ビンダーに押し出される形となったマレーシア人のハフィズ・シャーリンは、ヤマハのM1ではスピードを発揮していたが、2020年はMoto2クラスに出戻りをする形となる。テック3、ペトロナス以外のチームで走ることになるとされる彼のシートはまだ決まっていない。

2020年に契約が噂されている選手

2020年にMotoGPクラスにデビューするのでは?と予想されている選手は、現在Moto2クラスでチャンピオンシップをリードするアレックス・マルケス程度だ。アレックス・マルケスの獲得を巡ってはPramacがジャック・ミラーの後任として期待を寄せていると言われる。(※結果的にアレックス・マルケスはレプソル・ホンダに移籍)

Avintiaのティト・ラバトは、WSBKでジョナサン・レイのチームメイトになるとまことしやかに囁かれており、(※レイのチームメイトはアレックス・ロウズとなった。)同様にカレル・アブラハムに関してもまだ契約更新の話は流れてこない。そのため、MotoGPグリッドでシートに空きが出る可能性があるのはAvintiaくらいしかない2020年シーズンであるが、MotoGPマシンに乗れればどのチームでも良いというわけではないため、アレックス・マルケスはMotoGPクラスで多くの選手が契約満期を迎える2020年シーズンの後、2021年のMotoGP昇格を狙っているはずだ。

2021年シーズンは大きなシャッフルが行われる

2019年の段階で2021年の話をしてもあまり意味がないが、2020年に各ファクトリー選手の契約が満期を迎えるため、2021年シーズンは大きなシャッフルが行われる可能性が非常に高い。

まず2021年には42歳となるロッシがこの時点で引退するのか、はたまた1年契約で現役を続行するのかどうかが最大の関心事になるだろう。仮にロッシが引退するとなると、ロッシの代わりにヤマハファクトリー入りをするのはロッシの愛弟子のフランコ・モルビデッリなのか、抜群の速さを発揮しているファビオ・クアルタラロなのか?

また、レプソルホンダでバイクへの適合に苦戦するホルへ・ロレンソがホンダで契約を更新するのか、契約を更新しない場合、ロッシが抜けた穴にホルへ・ロレンソが戻る可能性があるのか?はたまた、スズキに移籍するのか?(※結果的にホルへ・ロレンソは2020年を走る事なく引退)

Ducatiはダニロ・ペトルッチを再びファクトリーチームに置くのか、それともジャック・ミラーがファクトリー入りするのか、同じくPramacのペッコが化けてDucatiファクトリー入りを果たすか?

KTMで苦戦が続くヨハン・ザルコはKTMを乗りこなせるのか、彼本来のライディングスタイルを活かせるヤマハ、スズキのバイクに乗り換えるのか?いずれにせよ、何が起こるか想像するだけでも楽しみな2021年となることは間違いない。(※ザルコはKTMをシーズン途中に降り、2020年はDucati契約でAvintiaで走る)

MotoGPは8月2日のチェコGPから後半戦がスタートするが、あまり先々の予想をする前に、まずはマルケスが昨年同様にチャンピオンシップ優勝を決めるのか、大きなドラマが待ち受けているのかを見届けたい。

(Photo courtesy of michelin, KTM)