HRCのテクニカルディレクターである横山健男氏は、シーズン前半を振り返って、今後のレギュレーションについて、今年の開発の方向性、電動バイクについて、ホルへ・ロレンソのホンダへの適合について、そしてHRCとしての開発のプライオリティーについて語る。

横山 健男

「今後のレギュレーションについてはエアロダイナミクスについては変更が予定されていますが、ホンダは今のレギュレーションに満足しています。エンジンの気筒数などに制限が無くなったとしたら、V4を止める(※V5に戻る)という可能性もゼロではないでしょう。」

「エンジンのシーズン中の開発を許可するということになったとしたら、それ自体は開発の助けになります。シーズン中に開発が可能であれば極端な方向に振ることも可能となります。エンジニアにとっては冬季に色々なものが作れるということで良いですが、リソース増、コスト増になるでしょうね。MotoEに関しては興味深く見ています。しかしホンダは現時点ではレースをするには早いと考えています。それにホンダはやるとなれば本腰を入れて開発を行います。」

「今後テストが減ってレースの数が増えたとしても、ホンダは今の体制でしっかりと開発が出来るでしょう。テストライダーの貢献度は重要ですし、ブラドルは良い仕事をしています。彼がくれるフィードバックはオフィシャルライダーに似ていますしね。スタートデバイスはアルヴァロ・バウティスタがグレシーニホンダから参戦していた時に実現していました。必要であると判断すれば今後考えていきます。」

今年の開発の目標はトップスピードを獲得するということでしたが、けしてフロントの安定性を犠牲にしたわけではありません。また、フレームの前半にカーボンを貼り付けたシャーシは、ブラドルがヘレスからテストしていて、現在までに4回、5回モディファイしています。新しいパーツは常にそうですが、ポジティブとネガティブの両面があります。これはカーボンスイングアームで得た経験から開発を進めているものですが、スイングアームのような効果は得られていません。今は最適な形を考えているところです。」

ホルへ・ロレンソに関しては彼のスタイルからしてホンダへの適合は簡単ではないと思っていました。ホンダのバイクの特性からしてもそうなるだろうと思っていました。彼の場合はいつも良いフィーリングが見つかる度にアンラッキーなことが起きています。彼の適合に想定よりも時間がかかっていることは確かですが、ネガティブスパイラルを超えれば良い結果が待っているはずです。」

「マルケスが1人が強いためにホンダの弱点を隠してしまうということはあり得るかもしれません。ですが、マルケスはホンダで速く走るには何が必要か理解しています。カルは色々と要求が多いライダーですが、良い方向のフィードバックをくれます。マルク、ホルヘ、カルのフィードバックが全く異なるということは多くありませんが、そうなった場合はマルクを優先します。彼はチャンピオンライダーで、ホンダのプライオリティは、マルクと共にタイトルを獲得することです。」

「中上に関しては2020年型のバイクを来年使用したいとリクエストしていますが、来年の体制はまだ決まっていません。彼の結果にはシーズン前半から満足ですね。」

(Source: HRC)

(Photo courtesy of michelin)