勝利の余韻と共に語る冷静な分析と挑戦への意欲
ヨハン・ザルコは、母国フランスGPでの初優勝の感動を噛み締めながらも、今週末のシルバーストーンに向けて冷静に状況を見つめている。前回の勝利では雨の影響とタイヤ選択が功を奏したが、今回の高速トラックではホンダのマシン特性がドライコンディションでの好成績につながると予測。さらにDucatiとの戦力差や、過去の自分のキャリア選択にも触れ、自身のレースへの姿勢と今後の展望を明確に語った。

ヨハン・ザルコ
「まだフランスの余韻に浸っています。水曜日にレースを見返したんですが、すべてうまいこと条件が噛み合ったと感じます。最初からレインタイヤだったというアドバンテージもありました。雨のおかげでバイクにストレスをかけずに走り切ることが出来ました。通常レースというのは難しいものですが、前回のレースではアドバンテージを獲得するのがそれほど難しくありませんでした。」
「MotoGPで優勝出来るというのは特別なことで、そこがどこであれ嬉しいものですが、フランスでこれを成し遂げたことは本当に特別な瞬間でした。今週末は両親はフランスにいます。両親は普段観戦はしませんから、前回は本当に何から何まで用意して観戦をしてもらいました。多くのことを気にしないでいいので、今回のほうが気が楽ですね。雨の可能性がありますが、雨のほうがいろいろなことが発生します。」
「ミスをする可能性もありますし、その中でチャンスを掴むことが出来るでしょう。ただ、ドライであってもシーズン序盤からフィーリングは良いですし、高速トラックですからホンダのフロントのフィーリングがアドバンテージをもたらしてくれると思います。ただドライの場合はフランスよりも良い結果を期待できます。シルバーストーンという高速トラックのほうが今のバイクの特性には合っていますからね。」
「シーズン序盤は特にDucatiとの差を感じていました。特にカタール、アルゼンチンはそうでした。それ以降は少し差が縮まっている感触があり、これがモチベーションに繋がっています。エンジンに関しては劣っていることは明確に感じます。トップスピードもそうですし、4速以降のパワーも劣っているでしょう。Ducatiはブレーキング、エントリーに関しても強みがあります。こうした部分を改善していければ接近出来ると感じます。パフォーマンスを改善して表彰台に近づいていきたいと感じています。」
「自分とKTMの場合もマルティンのケースとは異なります。自分はKTMでレースをしていましたが、自分はチャンピオンを獲得したことがありませんし、自分の可能性について疑いを持つようになっていたんです。ですから自分のライダーとしての可能性に疑問を持ち続ける状況を続けるよりはリセットをしたかったんです。過去には自分はヤマハのバイクにしか乗ったことがありませんでしたから。」
「その時点で来年のオプションはありませんでしたけど、それでもリスタートしたかったんです。ホルヘの場合はチャンピオンを獲得していますが、まだレースをちゃんとしている状況にはありません。ですから、仮に現時点で契約破棄をしてアプリリアを去るとすると、その選択肢は奇妙だと思います。マルクと自分の場合は少なくともレースをする中で自分の別の可能性について模索したいと感じたわけですし、マルクは怪我をして苦戦をしていたこと、そしてホンダの将来を思っての移籍ですからね。」
「スリックとレインタイヤでのスタートにそこまで違いはありませんし、自分の場合はル・マンではスタートデバイスを使用していませんでした。ル・マンの場合はターン1がトリッキーで、デバイスの解除が難しいんです。ですから自分の場合はターン1からバイクの制御が出来ましたが、ライダーによっては最初の2つのコーナーで制御が難しい状況があったと思います。来年はル・マンにおいてはスタートデバイスを禁ずるなどもありかもしれません。」
(Photo courtesy of michelin)