Pata Yamaha WorldSBKチーム ポール・デニング インタビュー

Pata Yamaha WorldSBKチーム代表であるポール・デニングが今年のチャンピオンシップ、R1の強み、ヤマハのチームとしての強み、チームが増えたことによる影響、そして強力な新人であるアルヴァロ・バウティスタについて語ります。

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Pata Yamaha WorldSBKチーム ポール・デニング

「競争の激しいモータースポーツというのは常にチャレンジングです。改善の幅、それに自らに課している目標というのはライバルの努力にかなり影響されるものですから。進化はけして一本道ではないんです。今年はアレックスのタイでの3位におけるレースタイムは、昨年の優勝ライダーよりも10秒速かったんです。でも2019年の優勝ライダーは18秒も昨年から速かったんです。ですからヤマハも改善しているんですが、さらに改善が必要なんです。」

「とは言え、R1は昨年よりも戦闘力が上がっています。ライダー、エンジニア、チームの2018年の作業、そして2018年から2019年にかけてウインターテストでの作業がバイクのレベルを高く引き上げています。チームはレース前の準備からエンジニアリングの面でも大きく改善しています。そして我々自身も量的にも質的にも良くなっているんです。」

「トータルパッケージとして、マシン、チーム、ライダーを2016年と比較すると、その進化には満足出来ますが、R1が勝利を続けているといっても、まだまだ改善すべき内容があるんです。」

R1の強み

「R1の強みはスタンダードパッケージの良さからも来ています。エンジンは多くの部品がスタンダードである必要がありますから。それにYamaha Motor Racing Europe (“YMRE”) の素晴らしい作業、チームの作業もあります。プロジェクトの序盤には”前進するには何が必要か?”という問いがあったのですが、その時点での答えは時間と経験しかなかったんです。」

「エンジニアの開発、トラックでバイクを準備するメカニックの経験からチームとして前進し、YMREと共同してコミニュケーションのミスを無くしていき、前進していったんです。」

「究極的にはモータースポーツにおける一番の制限は予算です。昨年終わりにルイス・ハミルトンとメルセデスF1チームの数名と楽しい時を過ごしました。トラックでライディングをしたりしながら、2つのモータースポーツの違いについて語りました。メルセデスF1チームではおよそ900人が2つの車の準備に当たっていますから、うちのチームのスタッフはその仕事ぶりを誇らしく思うべきでしょう。」

ライダーが2017年から変わっていないからの強み

「2019年にも同じライダーラインナップであるというのは技術的観点で助かりますね。この1年から1年半で競技レベルが上がっていることを考えるとなおさらね。マイケルは2018年に大きく成長し、トップ3でチャンピオンシップを終えるまでになりました。彼の強さはその自然な才能とスピードによるものです。彼はまたオーバーテイクが上手なライダーで、予選結果が悪くともレースの中で順位を改善することが得意なんです。」
「彼のスタイルはアグレッシブに見えることもありますが、実際にはそのラップタイムは驚くほどコンスタントなんですよ。一度リズムを見つけると、彼は驚くほど正確にラップを刻むマシーンになるんですよ。10周から12周スティントで彼が0.1秒、0.2秒の間で周回を続けていると、良いリズムで走行しているのだとわかるんです。」

「マイケルはまた、レースに向けて体をしっかりと用意してくるライダーです。メンタル面でも彼はレイドバックしたアプローチで、あまり結果に左右されず落ち着いて、レースになると全力を尽くしてくれるんです。彼のメンタルにはほとんどいかなることも影響を与えませんので、これが彼を恐ろしいレーサーにしているんです。彼がアッセンで2回表彰台を獲得したことは、今後のシーズンに関しても期待が出来ます。」

「レース2ではスターティンググリッドが変わりましたが、彼の予選のパフォーマンスに関して今年作業を行っているんです。今年のレースではいくつかのサーキットで、表彰台を狙うには2列目までにいる必要があるんです。2018年の結果を考えると、マイクの良い状態をすべてのサーキットで発揮したいと思っています。昨年強みを発揮出来なかったサーキットで良い結果を残したいですね。」

「シーズン前半を振り返ると、その面ではすでに改善出来ていたと言えるでしょう。そういった面を除いても、マイクは本当にマネジメントが容易な選手です。彼は率直で正直、素晴らしいチームプレイヤーで、このプロジェクトに関わる全員から愛されています。」

「アレックスはクレセントに2014年からいて、2016年のヤマハのプロジェクトスタートから一緒に戦っています。正直、2019年の彼と2014年の彼は全くの別人です。彼は素晴らしい作業を続けており、改善のためには何が必要かを理解していますし、成熟し、優れた決断を下せるようになっています。それに加えて強力でコンスタントなライダーになっています。」

「アレックスは一発のタイムが非常に速く、彼にとって予選が問題になったことはありません。彼はR1のダイナミズムを理解していますし、彼の知識、経験は誰の目にも明らかです。ヤマハのエンジニアは彼のフィードバックを開発の面で実に真剣に捉えています。」

「ですから、今年アレックスは2018年から改善するには何が必要かを明確に示しています。彼の成長はトラックの外で特に顕著で、ピットボックスでも彼は実に集中しています。アレックスは成功に対して非常にハングリーで、過去は物事がうまく行かないとフラストレーションを抱えて頭に来ていました。こういう状況だとチームも作業がしにくいんですよね。」

「もちろん、チームが常に正しいとは限りません。ただアレックスは自分こそがチームを引っ張っていく存在なのだと気づいており、フィードバックの面でも、どのようにフィードバックを返すかチームを励ますかが重要であると気づいてくれました。最高のライダー、成功しているライダーというのは、結局はそのチームをリードしているんです。アレックスは今そういったことが出来ていて、過去6ヶ月大きく変わった点と言えるでしょう。2019年の彼は素晴らしい作業をしていますし、さらに成長が見られると思います。」

「全体で考えると、2人のライダーが互いを信頼しており、2人共に実にハードにレースに取り組んでおり、2人とも非常に野心深いのです。彼らが成熟して経験を積むと、より完璧なアスリートになっていくんです。彼らは我々が良い週末を送るためにしっかりと頼ることが出来る存在なんですよ。」

サポートチームが増えたことによるメリット

「サポートチームが広がったという意味ではチャレンジングではありますが、すでにポジティブな影響を実感しています、同じスペックのバイクに良いライダーが乗っていると、この4名のライダーでデータを共有出来ますし、チーム、ヤマハ全体でメリットがあるんです。」

「現時点のグリッド数は18であって、優れたバイクに優れたライダーが2人乗っているということが重要なんです。ヤマハが過去3年間開発を続けてきたことで、しっかりとしたチームに基礎的なレベルのテクニカルサポートと共に供給することで、バイクはすぐさまに戦闘力を発揮することが出来ているんです。」

新しいチームについて

「新しいチームについてはコルテセもメランドリもうちのライダー達より年齢が上なんです。彼らのほうが世界選手権では経験がありますし、2人とも世界タイトル保持者ですからね。2人ともルーキーとは言えませんよ。」

「バイクは同スペックで、彼らはうちの過去のデータから現在のデータまですべてにアクセス出来ますし。ですから彼らが競争力を発揮出来ないという理由は特にないんです。ヤマハに関わる皆にとって、チャンピオンシップにとって非常にポジティブなことですよね。」

新しいレーススケジュールについて

「スーパーポールレースは良いと思いますね。ドルナが視聴者により多くのコンテンツを提供しようというもので、すでにエキサイティングですよね。これは予選で失敗したライダーにとってもレース2に向けて順位を挽回するチャンスを与えてもいます。」

「ただ日曜にレースが2回行われるという形式がやはり視聴者にはベストであったと思います。TVプログラムはこのところ非常に厳しいです。ただ土曜午後にスーパーポールレース、日曜午後に2つのロングレースというフォーマットが可能であれば、MXGPと似た形式ですが、これが一番良いのではと思いますけどね。」

バウティスタについて

「アルヴァロ・バウティスタは明らかに素晴らしいレベルの選手です。2018年、彼がMotoGPでファクトリーバイクを乗る機会を得た際の成績を見ればわかるでしょう。ライダーの資質に関しては疑いの余地がありません。彼はまた素晴らしいタイミングでWSBKに転向したように思います。」

「彼の乗るバイクはMotoGPのV4バイクに本質的に非常に近いものでしょうし、今までのVツインのバイクよりも優れているように思います。あの圧倒的なスピードは皆にとって悩みの種です。でもあのバイクもまたレギュレーションの範囲で作られているのも事実です。」

「タイのレース2を考えると、アレックスはアルヴァロと20周に渡りセクター3、セクター4で良い勝負をし、セクター1、セクター2で負けていました。これはつまりロングストレートの後に続く加速エリアなんです。これに関しては4度のチャンピオンであるジョナサン・レイも同様でしょう。」

「ですから皆にとってゴールポストが移動したと言えるような状況なんです。でも同じバイクに乗る他のライダーがアルヴァロのレベルに到達するまでは、ドルナがバイクに一人のライダーの成績で制限を設けることは難しいでしょうね。」

「サーキットの中には加速とエンジンパフォーマンスがそこまで重要にはならないサーキットもあります。R1の強みを生かして接近出来るトラックがあると思います。我々はR1の強みを磨き上げ、勝利の機会を狙いたいと思います。シーズンはまだ始まったばかりです。ヤマハもまた勝利に飢えていますよ!」

(Source: yamaha-racing)

(Photo courtesy of yamaha-racing)

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