練習走行ほどのスピードを発揮出来なかったと語るドヴィツィオーゾだが、その状況に焦ることなくタイヤの状況を考えながら、ストレートスピードというDucatiの強みを活かして表彰台を獲得した。バイクについて、タイヤについての深い知識と冷静なレース運びは流石といったところ。

アンドレア・ドヴィツィオーゾ

「今回はスタート位置が後ろだったので、スタートそして序盤にとにかく飛ばす必要がありました。1周目はかなりアグレッシブな走りになってしまいました。しかし、今日はマルケスについていくだけのスピードはありませんでした。ドライのマレーシアでは最高の結果でしたが、さらに上を目指すだけのことができるポジションにいたのにそれを生かすことができませんでした。昨日の予選結果はひどかったのでその後にこういった結果を得ることがよかったと思います。今日はバイクのストレートスピードに非常に助けられました。」

「通常レースではタイヤは練習よりも摩耗が激しいものです。それに今回もレースのほうが練習よりもかなり遅いタイムでの走行となりました。マルケスについて行けると思っていたんですけど、それが叶いませんでしたね。終盤はバレンティーノとの走行になりましたけど、そのライダーの後ろにいない限りは、どのコーナーで速いのかといったことはわかりません。バレンティーノのスタイル、バイクの強みはわかっていますが、詳細まではわかりませんでした。」

ここでは熱の影響が大きいので、誰かの後ろで走行するということはしたくなかったんです。Ducatiはコーナーの中では遅いですけど、加速は強力ですからね。今日は練習よりもコーナーの中でスピードを発揮出来なかったので、タイヤのためにもあえてスローダウンして、コンパクトにコーナーを曲がって立ち上がりを重視して走行しました。それに何度かバレンティーノに抜かれた際も、彼は限界で走行していましたから、彼は自分にとって有利な手はほとんど持たずに戦っていたんでしょうね。」

「彼が最終ラップまで後ろに控えている時は、必ず何かしてくるものですが、彼はオーバーテイクをする時にアグレッシブではあるものの、クレイジーなことはしません。今日は彼とのバトルを楽しめました。クリーンで良いバトルだったと思いますよ。それに今回はリンスが後ろから迫ってきていましたし、それもあってクレイジーなことはしなかったんだと思います。」

セパンは再舗装した際に、ターン15(リンスとミラーが接触した箇所)のバンクを今までと逆方向に変えてしまったんです。実に愚かだと思いますね。縁石側が高くなっているので、縁石に近い部分を深いバンクで曲がろうとするとグリップが低くなるんです。ターン15でマルケスはいつもどおり少しワイドになって、戻ってくるというラインで走行していましたが、イン側のタイトなラインを走行することも出来るんです。ですから複数のラインを同じスピードで走行することが可能なんですよ。異なるバイクでは異なるラインを使うことが出来て、現状極めて妙なコーナーになっていると思いますね。

「ペトロナスは何か問題が起きていたのかもしれません。練習の中ではいろいろな状況に備えておく必要があって、レースでは通常練習よりもグリップが低くなりますから、セットアップ、電子制御などが重要になります。今日のようにトラックのグリップが最初から低い場合、練習走行のどのセッションよりもグリップが低いことになります。予想していた状況と異るからとアグレッシブに走行してしまうと、全てが悪い方向に進んでしまいます。彼らがそうだったのか分かりませんが、自分の経験から言えるのはそういうことです。ミシュランタイヤの場合、タイヤがどのように機能するかと言うことを本当に理解して使う必要があるんです。」